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米国には武士道が必要だ 8月18日 [産経抄]

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【産経抄】米国には武士道が必要だ 8月18日

 東京都世田谷区の住宅街にある日本基督教団駒場エデン教会は、古武道の道場も兼ねている。今月15日に84歳で亡くなった笹森建美(たけみ)さんは、牧師にして「小野派一刀流」第17代宗家でもあった。

 ▼最初の一太刀で相手を倒す一刀流の創始者は、戦国時代の剣豪、伊藤一刀斎である。2代目の小野次郎右衛門忠明は、徳川2代将軍秀忠の剣術指南役を務めた。やがて小野派一刀流は津軽藩に伝わり、明治時代になって笹森さんの父が16代目を継いだ。津軽藩の藩士だった笹森さんの祖父が改宗して以来、笹森家は3代にわたるクリスチャン家系でもある。

 ▼聖書に親しみながら、一刀流の稽古に励むのが、当たり前の環境で育った。牧師になるために米国の大学留学中には、武勇伝も残している。アメリカンフットボールの選手の男が挑発してくるので相手をすることになった。笹森さんは、自分の倍はありそうな巨漢を一瞬にひっくり返した。小野派一刀流には、剣術だけでなく体術も伝承されている。

 ▼「武の道とキリスト教は矛盾しませんか」。笹森さんは何度も同じ質問を受けてきた。「どちらも人の死に方、生き方を真剣に問う『道』です」。著書の『武士道とキリスト教』(新潮新書)のなかで答えている。

 ▼明治期に入ってきたキリスト教を率先して受容したのは旧武士階級だった。その一人である新渡戸稲造が英文で発表した『武士道』は、欧米でベストセラーとなった。「最も剛毅なる者は最も柔和なる者である」。新渡戸は武士道の徳目の一つとして、「仁(惻隠(そくいん)の心)」を挙げている。

 ▼米国南部の町で白人至上主義団体と反対派が激突した事件は、波紋を広げている憎悪が渦巻く今の米国にこそ、武士道が必要ではないか。

 


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今年はまだ入道雲を見ていない 8月17日 [産経抄]

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【産経抄】今年はまだ入道雲を見ていない 8月17日

MD20170817657ぐずついた天気が続き、閑散とするプール=16日、東京練馬区の「としまえん」(松本健吾撮影)657

 

 東北地方の農家は昔から「ヤマセ」に苦しめられてきた。夏にオホーツク海高気圧から吹き出してくる、冷たくて湿った風である。山を越えて吹く風、「山背」が語源とされるが、異論もある。低温と日照不足をもたらし、冷害の原因となる。

 ▼「サムサノナツハ オロオロアルキ…」。幼い頃から農家の苦労を見てきた宮沢賢治にとって、憎むべき風だったろう。賢治の作品にさまざまな風が登場するのは、「飢餓風」とも呼ばれたヤマセへの関心がきっかけではないか。日本気象予報士会元会長の石井和子さんがコラムに書いていた。

 ▼今月に入って、関東地方と東北の太平洋岸で雨や曇り空が続いている。ギラギラした太陽が遠ざかっているのもヤマセの仕業である。仙台管区気象台によると、日照時間が平年の2割に満たない地点も少なくない。思い出すのは、平成5年の夏の寒さである

 ▼この年は大変な凶作となり、小売店からコメは消え、農協の倉庫で盗難事件が相次いだ。タイなどから緊急輸入でしのぐことになり、なじみのないコメのおいしい炊き方が話題になった。一方で、米価格が急騰したタイには、多大な迷惑をかけた。なりふりかまわずコメをかき集めたあげく、余らせるという、お粗末な結果となった。

 ▼まさか「平成の米騒動」の再来はないだろう。ただ、キュウリやナスなど野菜の値段がすでに上がっている。海水浴場やプールなどレジャー施設の関係者も頭を抱えているに違いない。関東地方は、来週には夏空と残暑が戻るそうだが、東北地方の太平洋側の天気が回復するのは、8月の最終週にずれ込むもようである。

 ▼猛暑が恋しいとまでは言わない。入道雲を見ないまま夏が終わるのは、あまりにも寂しすぎる。

 


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バスに慰安婦像の異様さ 11日は朝日の“スクープ記念日” 8月16日 [産経抄]

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【産経抄】バスに慰安婦像の異様さ 11日は朝日の“スクープ記念日” 8月16日

14日、バスに乗せられた慰安婦問題の少女像の手に触れる朴元淳ソウル市長=ソウル(同市提供・共同)

 

 北朝鮮の暴発をいかに抑える。緊迫した情勢をよそに、韓国は一体何をやっているのか。14日からソウル市内では、プラスチック製の慰安婦像を乗せた路線バスの運行が始まった。

 ▼バスに乗り込んだソウル市長は、日韓合意に反対するパフォーマンスに忙しい。中心部の広場では、元慰安婦の支援団体が、ミニチュアの金色の慰安婦像500体を展示していた。まさに、異様な光景というしかない。

 ▼14日が「世界慰安婦の日」とは、寡聞(かぶん)にして知らなかった。故金学順さんが元慰安婦として初めて名乗り出た、1991年8月14日に由来するという。ただし慰安婦の記念日なら、その3日前の11日の方がふさわしいかもしれない。

 ▼朝日新聞大阪版で植村隆氏が、匿名ながら金さんの証言を初めて報じる“スクープ”をものにした日である。もっとも慰安婦問題に取り組んできた西岡力氏は、早くから記事に疑問を呈してきた。「母親にキーセンの検番に売られた」という事実を伏せて、「女子挺身(ていしん)隊として連行された」と架空の履歴を付け加えたというのだ。

 ▼その後も続く朝日の一連の記事によって、「日本軍による強制連行」という作り話が広がったのは、周知の通り。それにしては、「世界慰安婦の日」を伝える昨日の朝日の記事は小さかった。「少女像除幕など韓国各地で開催」と人ごとのように報じていた。

 ▼人ごとといえば、元衆院議長の河野洋平氏にも当てはまる神奈川新聞に掲載されたインタビュー記事は、安倍政権批判に終始していた。慰安婦問題で重大な誤解を招いた「河野談話」には、まったく触れていない。今更この人に何を言ってもせんないことである。せめて、新外相の息子さんの足を引っ張らないでいてほしい

 


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八月や六日九日十五日 8月15日 [産経抄]

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【産経抄】八月や六日九日十五日 8月15日

 俳句は類似句との闘い、といわれる。わずか17文字の短詩ゆえに、そっくりの作品が先行している可能性は常にある。千葉市の元法務省職員、小林良作さんも同じ問題に直面した。「八月の六日九日十五日」。平成26年に所属する俳句結社に投稿した作品である。

 ▼昭和19年生まれの小林さんには、直接の戦争体験はない。ただ父親は、戦火により事業を失った。両親の苦しむ姿を、日本人にとって忘れることのできない日付に重ねて詠んだものだ。ところが、冒頭を「八月や」とする句が、すでに多くの人に詠まれている事実を知らされた。

 ▼最初の作者は誰だろう。調べを進めると、広島県尾道市の医師、故諫見(いさみ)勝則さんに行き着いた。長崎県諫早市出身の諫見さんは、海軍兵学校時代に江田島から広島の原爆のきのこ雲を目撃している。戦後、長崎医科大学を出て、広島、長崎の被爆者の診察も行った。その諫見さんが平成4年の夏、診察室のカレンダーを見ながら詠んだ作品が最初、との結論を得た。

 ▼「俳句探偵」のリポートは『八月や六日九日十五日』(「鴻」発行所出版局)として昨年出版された。小林さんは新たな情報を得て、調査を続行中である。類似句は今後も多くの人に詠まれていくだろう。

 ▼ただ昨日朝のNHK番組で、野球評論家の張本勲さんのインタビューを聞いていて不安になってきた。広島市に住んでいた張本さんは5歳で被爆し、姉を亡くしている。その体験を講演などで積極的に話すようになったのは、約10年前からだ。どこに原爆が落ちたのか知らない、という若い世代の声を耳にしたからだという。

 ▼「八月や」の句について、何を詠んでいるのかわからない。まさかそんな若者は、いるはずがないと信じたいが。

 


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アウシュビッツを生き延びた世界最高齢男性 8月14日 [産経抄]

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【産経抄】アウシュビッツを生き延びた世界最高齢男性 8月14日

 ナチス・ドイツが第二次大戦中にポーランド南部に造ったアウシュビッツ強制収容所は今、博物館になっている。数百人を一度に処刑したガス室や死体の焼却炉、死者の頭髪で作られた毛布…。

 ▼家族とともに博物館を訪れた小学生は、大きな衝撃を受けた。戦争について考え続けた少年は、後に国連ボランティアとなった。平成5年にカンボジアで犠牲になった中田厚仁(あつひと)さんである。

 ▼アウシュビッツでは、100万人以上のユダヤ人が殺され、生存者はわずか数%にすぎなかった。イスラエルから訃報が届いたイスラエル・クリスタルさんは、その一人である。113歳。昨年1月に福井県出身の小出保太郎さんが亡くなってからは、世界最高齢男性だった。

 ▼やはり強制収容所を奇跡的に生き延びた心理学者のV・E・フランクルが自らの体験をつづった『夜と霧』は、世界的なベストセラーとなった。日本でナチスによるホロコーストの実態が広く知られるようになったのは、みすず書房から邦訳が出てからである。

 ▼フランクルによれば、ユダヤ人被収容者から選ばれた監督者は、ナチス以上に仲間に残虐の限りを尽くした。「わたしたちはためらわずに言うことができる。いい人は帰ってこなかった、と」。もっとも極限の中にあって、人間の尊厳を失わなかった人の姿もまた、フランクルは記録している。

 ▼ポーランド出身のクリスタルさんが解放されたとき、体重はわずか37キロだった。ソ連兵がくれたキャンディーで命をつないだ。家族をすべて失ったクリスタルさんは戦後、イスラエルに移って、新しい家庭を持った。「楽観主義者で、あらゆる物に希望と美徳だけを見いだしていた」。父親が生き延びた理由を娘さんはこう語っている

 


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バトンが受け継がれる夏 8月13日 [産経抄]

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【産経抄】バトンが受け継がれる夏 8月13日

 何年前だったか。辛口のプロ野球評論で鳴らす豊田泰光さんが、「8月15日」に寄せてコラムを書いていた。豊田さんが西鉄入りした昭和28年は、戦争の影がまだ残っていたらしい。応召し、戦地に赴き、復員した一世代上の選手が各球団にいた。

 ▼その多くは長続きせずに、ユニホームを脱いでいる。「おれはもう終わりだから、おまえらに渡す」。西鉄を去る先輩の言葉が、耳から離れなかったという。「戦争がなければ全うしていたはずの選手生活の残りを渡すから…という意味だったと思うと、切ない」(『豊田泰光 108の遺言』)。

 ▼やがて華やかな時代を迎える球界だが、ベンチ裏では誰に聞かれることもなく虚空に消えた「復員選手」の哀歌がいくつもあったに違いない。「オレは確かにバトンを受けました」とつづった豊田さんも、昨年8月14日に他界した。

 ▼渡す人がいて、受ける人がいる。その作業を繰り返し、わが国は戦後72年の歳月を歩んできた。今を生きる世代がなすべきことは記憶という繊細で壊れやすいバトンの感触を手のひらで確かめ、次の世代に渡すことにほかならない。

 ▼この夏の帰省ラッシュは一息つき、空の便も鉄路も高速道もこれからUターンラッシュが始まる。父母のふるさとでお盆を過ごし、ご先祖の霊に息災を伝えた子供は多いだろう。祖父母との語らいを通して、バトンを受け取った子供も多いに違いない。命の重みをかみしめたい、この季節である。

 ▼2つの原爆忌があり、12日は日航機墜落事故で犠牲になった520人の三十三回忌が営まれた15日には、72回目の終戦の日を迎える。つかの間の地上を謳歌(おうか)するからだろう、日頃かしましく聞こえる蝉(せみ)しぐれに愛(いと)おしさを覚える時節でもある。


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北の危機目前、安保関連法「どうして急ぐ」とかしましかったマスコミは不明を恥じてはどうか 8月12日 [産経抄]

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【産経抄】北の危機目前、安保関連法「どうして急ぐ」とかしましかったマスコミは不明を恥じてはどうか 8月12日

衆院安全保障委員会の閉会中審査で答弁に立つ小野寺五典防衛相=10日、国会・衆院第16委員室(斎藤良雄撮影

 

 もし2年前の9月に、集団的自衛権の限定行使を容認する安全保障関連法が成立していなかったらと考えると、盛夏であるのに寒気立つ。北朝鮮が米領グアム周辺への中距離弾道ミサイル発射計画を公表し、ミサイルの日本上空通過も予告した件である。危機は目の前に迫っている。

 ▼小野寺五典防衛相は10日の国会閉会中審査で、北朝鮮が実際にミサイルを発射した場合、安保関連法に基づき集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」に認定し、自衛隊が迎撃することは可能だとの認識を示した。一部の新聞は「拡大解釈」だとの悠長な懸念を伝えたが、なに相手にすることはない。

 ▼「日本の安全保障にとって、米側の抑止力・打撃力が(攻撃を受けて)欠如することは、日本の存立の危機に当たる可能性がないとはいえない」。こう淡々と述べた小野寺氏の説明は分かりやすかった。グアムは、日本有事の際の米軍来援の拠点なのだから当然である。

 ▼安保関連法案の審議時には、多くのマスコミやテレビコメンテーターらが「なぜ今なのか」「どうして急ぐのか」「議論が足りない」などとかしましかったが、当時もそれ以前も北朝鮮は着々と核・ミサイル開発を進めていた少しは自分たちの不明を恥じてはどうか

 ▼「座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨だとは考えられない」。鳩山一郎首相(当時)は昭和31年、敵基地攻撃能力の保有は合憲だとの政府統一見解を出し、歴代内閣も踏襲している。安倍晋三首相は6日、「現時点で具体的な検討を行う予定はない」と述べたが、ここは「君子は豹変(ひょうへん)す」でいくことを勧めたい。

 ▼安全保障の要諦は、実は誰でも知っている。「備えあれば憂いなし」。この一言で足りるのである


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米朝の言葉戦いではすまなくなる 8月11日 [産経抄]

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【産経抄】米朝の言葉戦いではすまなくなる 8月11日

トランプ米大統領(左)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(いずれもロイター)

 

 中世史家の藤木久志さんの著書『戦国の作法』で、「言葉戦い」という語を知った。源平合戦の時代、実際の戦闘に先立ち、双方が口汚く罵(ののし)り合うのが習わしだった。たとえば『平家物語』は、源氏が平氏から瀬戸内海の制海権を奪った「屋島の戦い」をこう伝えている。

 ▼平氏側が相手の総大将である源義経をまず挑発する。「みなし子」「こがね商人の所従(家来)」「奥州へおちまどひし小冠者か」。源氏側もすぐ応酬する。「北陸道にさまよひ、乞食して、なく●京へのぼ(ッ)たりし物か」。北陸で木曽義仲に敗れて、京都に逃げ帰った平氏をからかった。

 ▼トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩政権との「言葉戦い」がエスカレートしている。「これ以上、米国にいかなる脅しもかけるべきでない。(さもなければ)北朝鮮は炎と怒りに見舞われる」。北朝鮮は聞くに堪えない罵詈(ばり)雑言を国際社会に浴びせてきた。そのお株を奪うようなトランプ氏の脅し文句である。さらにツイートには、核戦力行使の可能性まで書き込んだ。

 ▼北朝鮮が黙っているはずがない。米軍基地のあるグアム島周辺の海上への、弾道ミサイル4発同時発射を検討している、と宣言した。「島根県、広島県、高知県の上空を通過する」「日本列島を瞬時に焦土化できる能力を備えた」などと、米国の同盟国、日本への恫喝(どうかつ)も忘れない。

 ▼米朝双方引くに引けないチキンゲームの行方が、ますます見えなくなった。「驕(おご)れる者久しからず」。「作法」知らずの国家指導者に、人の世の理(ことわり)を説いても、馬の耳に念仏であろう。

 ▼「言葉戦い」では済まなくなる事態、すなわち米朝衝突のリスクが高まりつつある戦後最大の危機に対して、日本の備えは万全なのか。

●=2文字繰り返し記号


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無粋な建造物は昭和の技術者の記念碑 8月10日 [産経抄]

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【産経抄】無粋な建造物は昭和の技術者の記念碑 8月10日

上空を覆う首都高速道路の地下移設が検討される日本橋東京都中央区

 

 東京都心の首都高速道路は本日、大渋滞が予想される。お盆前でトラックの数が増える上、早めに休みを取った人たちの車が流れ込むからだ。

 ▼1972年に公開された旧ソ連のSF映画「惑星ソラリス」には、首都高の映像が使われている。タルコフスキー監督にとって、未来都市を表現する上で欠かせない素材だった。確かに当時、ビルの間を縫うように走る高速道路は他に存在しなかった。

 ▼戦後の東京は復興が進むにつれて、交通問題が深刻化する。道路用地を買収する資金も時間もない。そこで東京都の都市計画部長だった山田正男さんから出てきたアイデアが、「空中作戦」である。江戸時代から残る堀や運河の上に高架の道路を造る。昭和39(1964)年開催の東京五輪に間に合うよう、突貫工事が続いた。関わった技術者は10万人に及んだ。

 ▼ただ、山田さんには心残りがあった。日本橋の上を通り、周辺の景観を損なってきた道路である。山田さんらは、川の干拓をして橋の下に通そうとしたが、河川管理サイドが認めなかった。地下を掘って高速を通す時間的余裕もなかった(『首都高物語』)。

 ▼道路の撤去は、周辺住民と商店主の長年の念願である。小泉純一郎政権時代に、道路を地下へ移す計画が持ち上がった。国土交通省と東京都によると、ようやく具体的な検討に入った。着手するのは、東京五輪の後になるらしい。実現すれば、成熟都市の再生事業の優れたモデルになるだろう。

 ▼ただ、日本橋の空を奪った「無粋な建造物」として批判されてきた道路は、昭和の技術者の記念碑でもあるあらゆる難題をはねのけ、奇跡的な工事をやり遂げた、彼らの知恵とエネルギーへの敬意だけは、けっして忘れたくない

 


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山梨市長の給料、市民は一円たりとも払いたくない 8月9日 [産経抄]

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【産経抄】山梨市長の給料、市民は一円たりとも払いたくない 8月9日

 歌人の石川啄木は、26年間の短い人生のなかで、何度も友人知人から借金して踏み倒している。借金の総額は、今の貨幣価値で2千万円にものぼるそうだ。その啄木は、「憲政の神様」と称され、金権政治とも無縁だった尾崎行雄を敬愛してやまなかった。

 ▼「手が白く 且(か)つ大(だい)なりき 非凡なる人といはるる男に会ひしに」。啄木が、東京市長を務めていた尾崎と面会して詠んだ歌といわれている。その伝で行くと、山梨県山梨市の望月清賢(せいき)市長(70)の手は、真っ黒である。

 ▼警視庁捜査2課による逮捕は、小紙のスクープだった。職員採用試験にあたり、特定の受験者の点数を水増しした疑いがもたれている。捜査2課は、望月容疑者と採用された受験者との間の金銭の授受についても調べている。

 ▼今年6月には、知人から現金をだましとったとして、石材会社社長の元妻(61)が逮捕されている。経営が行き詰まっていた会社は、もともと望月容疑者が父親から引き継いだ会社だった。望月容疑者は「人当たりがいい」と評される一方で、市政関係者の間では、多額の借金が話題になっていた。

 ▼全国で多くの市長が、借金に苦しんでいる。といっても市長本人ではなく、あくまで市が抱える借金である。すでに破綻自治体である北海道の夕張市では、鈴木直道市長が約20年かけて353億円の負債を返す再生計画を進めている。

 ▼東京都庁の職員から転じた鈴木市長の給与は、手取りで月額20万円に満たない。さすがに市民から、安すぎるとの声が上がった。ただ鈴木市長は、任期中は今のまま据え置く決意を日経新聞のインタビューで語っている。望月容疑者の給与の額は知らないが、市民としては一円たりとも払いたくない気分だろう。

 


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柳田国男の夏休み 8月8日 [産経抄]

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【産経抄】柳田国男の夏休み 8月8日

 昨日に続いて、夏休みの話である。民俗学者の柳田国男は明治30年、大学2年の夏休みを愛知県の渥美半島で過ごしている。伊良湖岬の浜を散歩していると、流れ着いたヤシの実を見つけた。

 ▼柳田は晩年、ヤシの実を黒潮に乗って南方から渡来した日本人に重ね合わせて、名著『海上の道』を書いた。そのなかで、友人の島崎藤村が柳田から話を聞いて「椰子(やし)の実」の歌を作ったエピソードも明かしている。♪名も知らぬ遠き島より…。流れ着いたヤシの実の故郷は、どこだったのだろう。

 ▼渥美半島の海岸は古来、魚や貝、植物から難破船まで、さまざまな「海の贈り物」に恵まれてきた観光協会(現観光ビューロー)では、有名になったヤシの実をなんとか町おこしに利用できないかと、知恵を絞った。そこで生まれたのが、沖縄県の石垣島を「名も知らぬ遠き島」に見立てるアイデアである昭和63年から毎年夏には、ヤシの実を現地の海に投げ入れてきた。

 ▼これまで30回にわたって流したヤシの実は3379個にのぼる。約1600キロの「海上の道」を通って渥美半島にたどり着いたのは、わずか4個である。列島各地の浜辺では、約130個が見つかっている。観光ビューローでは、ヤシの実のオーナーと拾った人を渥美半島に招いて、「対面式」を行ってきた。

 ▼♪故郷(ふるさと)の岸を離れて 汝(なれ)はそも波に幾月…。台風5号は迷走を続け各地に大雨を降らせたあげく、日本列島を縦断中である。今年投げ入れられたばかりのヤシの実は、荒れ狂う波にもまれて、どこを漂っているのか。

 ▼今日は、昭和37年に87歳で亡くなった柳田の命日に当たる。立秋が過ぎ、「国男忌」は秋の季語となる。とはいえ猛暑は、これからが本番である。

 


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予報は気象との戦いである 8月7日 [産経抄]

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【産経抄】予報は気象との戦いである 8月7日

倉嶋厚さん

 

 トランプ米大統領が、17日間の夏休みに入った。かつてオバマ前大統領が10日間の夏休みを取った際、散々批判したことをすっかり忘れているようだ。たとえば、このニュースコラムのネタにしたとする。

 ▼頼りになるのが、気象キャスターの先駆けでエッセーの名手でもあった倉嶋厚(あつし)さんである倉嶋さんの『季節おもしろ事典』によると、日本人が本格的に夏休みを取るようになるのは、明治6年ごろからだ。政府が出した令達によってまず役人が休み、やがて学校に夏休みができた。

 ▼「西欧を見習おう」とする明治政府の方針の一つだった。もともと夏は、田の草取りで忙しい季節である。「だから暑さを避けて仕事を休むという発想は、日本人から生まれてこなかったのだろう」。93歳で亡くなった倉嶋さんの著作から、日本の風土にまつわる蘊蓄(うんちく)をどれほど利用させてもらったことか。

 ▼昭和19年に気象技術官養成所を卒業した倉嶋さんは、海軍技術少尉となる。「気象士はいいなあ」「いえ、私たちもいずれ死にますよ」。勤務していた京都の特攻隊の訓練基地では、こんな会話が交わされていた。

 ▼特攻隊員たちとともに、鹿児島県の鹿屋(かのや)航空隊に転属になる前日に終戦を迎えた。約40年後、気象庁の主任予報官から鹿児島地方気象台長に転じた倉嶋さんは、まず自衛隊の鹿屋基地に挨拶に行った。飛行場を見たとき、涙があふれて止まらなかった。

 ▼「気象人として最後に気象事業の最前線で、精一杯戦うことができるのはしあわせ」。定年までの2年間、「台風の防人(さきもり)」を自任していた倉嶋さんは、こう語っている。台風5号は鹿児島県の東海上を北上し、九州は再び暴風雨にさらされた。気象台では、後輩たちが懸命に戦っている

 


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「核の傘」をかざす米国では、日本独自の核抑止力が論じられる時代にもなった [産経抄]

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【産経抄】8月6日

 往年の名スプリンター吉岡隆徳はただ一度、「駆け足」を悔いたことがある広島高等師範学校の教授時代という。学生を連れて郊外の工廠(こうしょう)に詰めていた朝、原爆は落とされた。市内に残す家族のもとへ、酸鼻を極めた地獄絵図の中を吉岡は走る。

 ▼道すがら助けを呼ぶ声がした。〈これらの人々を踏み越えるようにして我が家へ急いだ〉と自著『わが人生一直線』に書き留めている。未曽有の惨禍を前に、非を鳴らされるいわれはあるまい。悔恨にさいなまれた吉岡はしかし、戦後まもなく教授職を辞している。

 ▼1932年ロサンゼルス五輪の陸上男子100メートルで6位入賞し、「暁の超特急」と呼ばれた人の終生癒えなかった傷という。「教育も理性も一発の原爆であとかたもなく吹っ飛んでしまう」。人の尊厳を一瞬で焼き尽くした閃光(せんこう)の罪深さを、誰もが思う季節だろう。

 ▼遠いロンドンでは、日本の若いスプリンターたちが世界陸上選手権のトラックを駆けている。わずか10秒に人生を懸ける選手たちの輝きもまた、同じ地上の光である。武器も取らず、誰をあやめることもなく争うすべを、人類は太古の昔から知っていたというのに。

 ▼わが国に弾頭を向け、核開発への道をひた走る愚かな独裁者が、狭い海を隔てた向こう岸にいる。核の傘」をかざす米国では、日本独自の核抑止力が論じられる時代にもなった。核の脅威がこれまでになく現実味を帯びる中で迎えた、72回目の「原爆忌」である。

 ▼惨禍の光を再び許してはなるまい広島・平和公園の歌碑にはこう刻まれている。〈まがつびよ/ふたたびここに/くるなかれ/平和をいのる/人のみぞここは〉。災厄の神よ、ここには二度と来るな。湯川秀樹博士の詠んだ、痛切な願いである。

 


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河野太郎外相は、韓国の二重基準を説明し「日本海」という国際呼称を守ってもらいたい 8月5日 [産経抄]

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【産経抄】河野太郎外相は、韓国の二重基準を説明し「日本海」という国際呼称を守ってもらいたい 8月5日

 4日付の小紙朝刊は、日本海の国際呼称について、韓国が求める「東海」への表記変更が増加している問題を報じていた。外務省の調査によると、日本海の単独呼称を支持する国は約58%にとどまったという。慰安婦問題でも徴用工問題でも、韓国のなりふり構わぬ宣伝攻勢に、有効な対抗策を打てない日本外交の現状を憂う

 ▼そもそも日本海は、朝鮮半島から見れば東に位置するものの、日本列島を基準にすれば西にある。東海という呼称は、そんな相対的な位置関係を表すにすぎない。にもかかわらず、必死に世界各国に東海表記を強いようとするのはなぜか。

 ▼韓国の西側、中国大陸との間に位置する「黄海」は、韓国では「西海」と呼ばれている。ところが、韓国は国際社会に西海表記を訴えることはしていない。「韓国はことほどさように事大主義の国なんです」。外務事務次官経験者から聞いた言葉である。

 ▼事大主義とは、一般的には定見を持たず、支配的勢力に付き従って自己保身を図る姿勢を指すが、李氏朝鮮時代からの伝統的な韓国の対中政策でもある。朴正煕元大統領は「民族の悪い遺産」として、事大主義を批判したとされる。

 ▼確かに韓国は、日本の朝鮮半島統治に関してはあることないこと責め立てるのに、その後の朝鮮戦争に参戦して半島を蹂躙(じゅうりん)した中国は非難しない。日本から見ればこうした態度は理不尽であり、差別の一種だとすら受け取れる。

 ▼河野太郎新外相には、国際社会で韓国の二重基準を説明し、欧米で19世紀初頭には確立していた日本海という国際呼称を守ってもらいたい近隣諸国との友好と迎合を履き違えたような外交を繰り広げた父、河野洋平元外相と自分は違うのだというところを見せてほしい

 


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AI政治家に負けるな 8月4日 [産経抄]

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【産経抄】AI政治家に負けるな 8月4日

改造内閣が発足し、記念撮影に臨む安倍晋三首相(手前中央)と新閣僚ら=3日午後、首相官邸 (松本健吾撮影)

 

 立候補者はロボットではないか。米国のある都市で2032年に行われた市長選で、こんな疑惑が持ち上がった。SF作家、アイザック・アシモフが1950年に発表した「われはロボット」(ハヤカワ文庫)の一場面である

 ▼ロボットの心理が専門の研究者は、最高の行政官になる、と主張する。「彼は、人間に危害を加えることはできないし、圧政を敷くことも、汚職を行うことも、愚行に走ることも、偏見を抱くこともできないのですからね」。

 ▼米国の研究者、ベン・ゲーツェル氏は実際、人工知能(AI)を搭載したロボットを政治家として育成するプロジェクトを進めている。人間と違って、自らの利害や偏見にとらわれず、正しい判断ができるのが、強みだという。政治の混乱が続く韓国では、ゲーツェル氏に協力を求めた。「AI政治家」が政策にかかわる仕組み作りを急いでいる。

 ▼第3次安倍晋三改造内閣が発足した日本はどうだろう。国会でまともな答弁ができない。省内をまとめきれず、失言も多かった。こんなダメ大臣を一掃して、閣僚経験者を多数起用した。安定重視がキャッチフレーズである。

 ▼それでもなお、国民の期待を裏切るような不祥事が起これば、安倍政権の危機にとどまらない。受け皿となる有力な野党が見当たらないとなれば、いっそのこと政治をAIに任せよう、との声が日本でも上がりかねない。

 ▼香港新聞によると、中国のAIも曇りのない目で政治を見る能力に恵まれている。IT大手が提供するAIの対話サービスに、ある利用者が「共産党万歳」と書き込むと、すぐ反論してきた。「こんなに腐敗して無能な政治に万歳できるのか」。このAIは、日本の新内閣にどんな判定を下すだろう。

 

 


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科学者を不正から守る守護神はいないのか 8月3日 [産経抄]

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【産経抄】科学者を不正から守る守護神はいないのか 8月3日

 物理学のガリレオとニュートン、遺伝学のメンデル、進化論のダーウィン…。歴史に大きな足跡を残した天才科学者たちには、共通点がある。現代の観点からすれば、なんらかの研究不正を働いた可能性が高い。

 ▼たとえばメンデルは、エンドウ豆の実験データを操作したことがわかっている。「遺伝の法則」に合致するよう実験結果に手を加えたのは、意図的だったのか、無意識だったのか。メンデルの生データが残っていないので、確かめようがないという(『背信の科学者たち』ウイリアム・ブロード他著)。

 ▼偉大な先輩たちも手を染めているのだから、少しくらいはいいだろう。もちろんこんな理屈は、現代の科学の世界では通らない。東京大学によれば、分子細胞生物学研究所の渡辺嘉典教授らが発表した論文5本に、捏造(ねつぞう)と改竄(かいざん)の不正が見つかった。

 ▼実験をしていないのにグラフを作成し、画像に不適切な加工を行っていた。いずれの論文も世界的に著名な学術誌に掲載済みである。同じ研究所では、3年前にも、論文不正が発覚していた。

 ▼STAP細胞が大きな社会問題になって以降も、研究現場での不正行為の横行が続いてきた。ライバルに先んじて成果を発表しないと、国から研究費がもらえない。そんな競争の激しさが背景にある。渡辺教授の研究室にも、国などから14億8千万円が助成されている。

 ▼渡辺教授は、染色体の研究で知られる。精子や卵子ができる際、染色体の数が半分になる減数分裂が起こる。渡辺教授らはそのメカニズムのなかで、染色体同士の接点を守る働きをするタンパク質を見つけて、「シュゴシン」と名付けた。研究者を不正の誘惑から守ってくれる「守護神」がいてくれたら、と切に願う。

 


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恋多き大女優 8月2日 [産経抄]

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【産経抄】恋多き大女優 8月2日

 フランス映画界を代表する女優、ジャンヌ・モローさんは若い頃、アメリカ雑誌から「不美人」と決めつけられた。「メーク担当者たちは、彼女の低すぎる鼻と大きすぎる口に手を焼いた」。評伝にはこんな記述もある。

 ▼ただ29歳のとき出会った、4歳下のルイ・マル監督の見方は違っていた。1958年に公開された『死刑台のエレベーター』で、モローさんは、恋人と共謀して夫を殺害するヒロインを演じた。ほとんどノーメークだった。評論家の川本三郎さんは、「この映画のカメラは、年上の女性を愛する若者の憧れの目になっている。彼女が美しく見えたのは、そのためだろう」と述べている(『美女ありき』)。

 ▼撮影中に2人は恋仲となった。映画は大ヒットして、モローさんは「ヌーベルバーグ(新しい波)」を代表する女優となる。私生活では2度の結婚のほか、いくつもの恋が取りざたされた。

 ▼「日本に初めて関心を持ったのは、60年代にピエール・カルダンから真珠のお土産をもらった時」「初来日は、1970年の大阪万博。その時は、フランソワ・トリュフォー監督と一緒だった」。平成2(1990)年に舞台公演のため来日したときの記者会見でも、かつて噂に上った相手の名前が次々に飛び出した。

 ▼映画監督でもあったモローさんが、89歳で亡くなった。パリの自宅アパートでインタビューしたことがある。「恋多き女性」と呼ばれていますが、などとおそるおそる切り出すと、「それ、どういう意味? ちゃんと説明して」と突っ込まれ、頭が真っ白になった。

 ▼その後記憶に残っているのは、床から天井まで積み上げられた大量の蔵書だけである。小欄にとっては、なにより「知性の人」の印象が強い


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プロか大学か、「二刀流」か 8月1日 [産経抄]

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【産経抄】プロか大学か、「二刀流」か 8月1日

 「ミスタープロ野球」こと長嶋茂雄さんが高卒でプロ入りしていたら…。往年の野球ファンにとってこれほど魅力的な「歴史のイフ」はない。千葉県の佐倉一高時代、甲子園出場こそ逃したものの、強打の三塁手としてスカウトの目に留まっていた。

 ▼日経新聞の「私の履歴書」によれば、あこがれの巨人からも誘いが来て、長嶋さんは有頂天になっていた。ところが堅物の父親は、契約金の話しかしないプロ野球球団にうんざりして、勝手に立教大入学を決めてしまう。

 ▼プロ入りか大学進学か、日本中の野球ファンが、早実の清宮幸太郎内野手の去就に注目している。先月30日の西東京大会決勝で、早実は東海大菅生に敗れて、2年ぶりの甲子園出場を逃した。清宮選手は、新記録となる高校通算108号本塁打にも届かなかった。

 ▼それでもスーパースター候補であることには変わりはない。長嶋さんは「できれば早くプロ野球に入ってほしい」と熱望する。確かに、早実の大先輩である「世界のホームラン王」王貞治さんの名前を挙げるまでもない。イチロー、ダルビッシュ、田中将大、前田健太と、メジャーリーグでは「高卒組」の日本選手の活躍が目立つ。

 ▼ただ清宮選手は、勉学にも懸命に取り組んできた。系列の早大のほか、海外の大学も視野にいれて進学の方針を固めた、との報道もある。早大の通信教育課程「eスクール」を利用しながら、プロ入りする選択肢も残されている。

 ▼もっとも他の世界に目を移せば、プロと大学生の「二刀流」は珍しくない。このほど羽生善治王座への挑戦権を獲得した将棋の中村太地(たいち)六段は、早実在学中にプロ入りし、早大の卒業生でもある。囲碁の若手有望株、一力遼七段も早大の学生である。

 

 

 


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ブレーンに恵まれた家康を見倣え 7月31日 [産経抄]

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【産経抄】ブレーンに恵まれた家康を見倣え 7月31日

愛知 信長・秀吉・家康の「三英傑メモ帳」販売

 

 関ケ原の戦いに勝利した徳川家康にとって、残る気がかりは豊臣家の存在だった。そこで目をつけたのが、秀吉の遺児、秀頼が再建した京都方広寺大仏殿の釣り鐘である。刻まれている銘文「国家安康」が、家康の名を分割して呪うものだと、言いがかりをつけた。

 ▼この事件が、大坂の陣の原因となり、豊臣家の滅亡につながっていく。実は鐘の銘文について家康に知恵を授けたのは、南禅寺の僧、金地院崇伝(こんちいん・すうでん)だったといわれている。当時、「黒衣の宰相」の異名を取った、家康の政策ブレーンである。

 ▼トランプ米大統領にとっても、ブレーンの存在は欠かせない。そのなかでも政権の要の役割を果たしてきた、プリーバス大統領首席補佐官が更迭された。すでに政権発足以来、国家安全保障問題担当の補佐官や大統領報道官、FBI長官など、解任、辞任が相次いでいる。

 ▼トランプ氏はさらに、セッションズ司法長官への不満を公言してきた。一部のメディアは、ティラーソン国務長官辞任の可能性さえ報じている。高官同士のいがみ合いも表面化し、情報漏洩(ろうえい)が相次ぐ要因にもなっている。

 ▼家康の死後、その神号について論争が起きた。崇伝が「明神」を主張したのに対して、やはり家康の側近だった僧の天海は、「権現」を持ち出して一歩も引かない。結局、家康は「東照大権現」としてまつられることになった。家康の神格化は、幕府の治世の安定に大いに貢献した。

 ▼それにひきかえ、トランプ政権内で生じた深い亀裂は、米国の大統領の権威を失墜させるばかりである。治世の安定にはほど遠い。政権の弱体化は、世界情勢のさらなる不安定を招きつつある。笑いがとまらない、あの国、この国の指導者たちの顔が思い浮かぶ。

 


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「八田イズム」選手に昼夜の境はなく、「常在戦場」の気組みは当たり前 [産経抄]

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【産経抄】7月30日

 元日本レスリング協会会長の八田一朗は、選手の寝込みをよく襲った。昭和39年の東京五輪へ向けた合宿に、知られた話がある。寝静まった頃、全員をたたき起こし点呼を取る。続けてトレーニングをする日もあればビデオ研究を行う日もあった。

 ▼「八田イズム」と呼ばれる過酷な鍛錬は、5個の金メダルをわが国にもたらしている選手に昼夜の境はなく、「常在戦場」の気組みは当たり前。日の丸を背負う者よ、かくあれ。泉下から響く八田の声を、多端の国事を預かる閣僚にも聞いてほしいところである。

 ▼寝覚めの悪い人か、打てど響かぬ人なのかは知らない。国連平和維持活動をめぐる日報の隠蔽(いんぺい)問題で稲田朋美氏が防衛相を辞任した。北東アジアの危機を前に国防強化の政策を構想し実現する。そんな姿を氏に見ることはついになかった。退場は遅すぎた観もある。

 ▼自衛隊の政治的中立をわきまえぬ選挙での応援演説といい、「森友問題」で記憶に基づく発言を撤回した不手際といい、世論の鳴らす警笛に目を覚ます機会はいくらでもあったろう。「将来の首相候補」と安倍晋三首相に目をかけられた人なら、なおのことである。

 ▼稲田氏をかばい続けた首相のとがも一通りではない。政権への低調な支持率で、国民は何度も「姿勢を正せ」と警告している。人々が寝静まる頃を襲った28日深夜の北朝鮮による「ミサイル発射」のニュースは、夜の安息さえも約束されないことを示唆していよう。

 ▼冒頭の八田は選手の心胆を鍛えるため、動物園のライオンとにらみ合いをさせた現代の日本が相手にするのは、檻(おり)の中ではなく狭い海をはさんだ向こう側にいる野心と狂気に満ちた国である国防の要が今のありさまで、国の安全をどう守るのか。

 


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