So-net無料ブログ作成

田丸さんは息子がまだ幼かった頃、「お前、嘘つきは通訳の始まりだよ」とたしなめたという [産経抄]

閉じる

【産経抄】12月10日

 首相時代の中曽根康弘氏にこぼれ話がある。何かの会見で「ホウカン外交」と言ったところ通訳は「おもねるご機嫌取り外交」と英訳した。「幇間(ほうかん)(たいこ持ち)」と聞こえたようで、中曽根氏はあわてて「砲艦外交だ」と英語で訂正したという。

 ▼イタリア語翻訳家の田丸公美子さんがエッセー集『目からハム』に書いている。取り違えが生んだ誤訳は運よく笑い話で収まった。聞けば通訳の世界では、元の発言に色をつけた誇張や意訳も技のうちという。通訳は必ずしも真ならず。聞き手の度量が必要だろう。

 ▼国ぐるみのドーピングを行ったロシアが来年の平昌五輪から除外される。フィギュアスケートの大会で来日中の同国選手がメディアに見解を問われ、通訳同席で会見した。選手の一人は「犯したことを考えれば当然の措置」と述べたと、通訳が日本語に訳している。

 ▼ロシアの不正をめぐっては、暴露本を執筆中の元責任者が謎の死を遂げている。正論を述べた選手の身を案じたファンも多かろう。あにはからんや、大会主催者は翌日に発言を取り消し、「ロシアが参加しない五輪は想像できない」とする内容の訂正版を公表した。

 ▼正確に言えば、日本語通訳による明らかな不手際だという。会見の映像という動かぬ証拠があり、大統領選を控えた大国が裏で手を回したという後ろ暗い事情とは無縁のようである。当の通訳は現場から外された。聞き間違いか誇張か意訳か、真相は定かではない。

 ▼田丸さんは息子がまだ幼かった頃、「お前、嘘つきは通訳の始まりだよ」とたしなめたという困ったことに今回の騒動では、誤訳の方がむしろストンと胸に落ちる感もある。通訳が選手の思いを忖度(そんたく)して…。出来過ぎたオチがないことを祈る。


タグ:産経抄
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

北朝鮮を利してどうするのか 「面従腹背」を地で行く前川喜平氏に慄然 12月9日 [産経抄]

閉じる

【産経抄】北朝鮮を利してどうするのか 「面従腹背」を地で行く前川喜平氏に慄然 12月9日

 自らの座右の銘、「面従腹背」を地で行く姿に慄然(りつぜん)とする。時の政権に逆らわず文部科学省の事務次官まで上り詰め、高額の退職金をもらった後に「政治の判断」への批判を繰り返す前川喜平氏のことである。前川氏が最近までトップを務めていた文教行政自体が、怪しく思えてくる。

 ▼朝鮮学校を高校無償化の対象から外したのは違法だと、九州朝鮮中高級学校の卒業生らが国に損害賠償を求めた裁判で、前川氏が原告側に立って陳述書を裁判所に提出したことが分かった。証人尋問にも応じるのだという。

 ▼朝鮮学校は、北朝鮮や朝鮮総連の強い影響下にある。長年、世界を欺き国民生活を犠牲にして核・ミサイル開発を進め、拉致をはじめテロ事件を実行してきたのが北朝鮮である。国際社会が一致して制裁を実施しようというときに、北を利してどうするのか。

 ▼無償化は民主党政権下の平成22年に手続きが開始されたが、北朝鮮による韓国・延坪(ヨンピョン)島砲撃を受けて停止された。翌23年8月、退陣間際の菅直人首相が手続き再開を指示した際には、拉致被害者家族から「拉致問題について誤ったメッセージを送ることになる」との悲鳴が漏れた。

 ▼24年12月の安倍晋三政権成立で、朝鮮学校は適用外だと決着する。前川氏は不満だったようだが、だったら堂々と安倍首相に掛け合えばよかった。前川氏は学校法人加計学園の獣医学部新設の件でも、次官当時は異を唱えず、辞めてから批判するのだから始末に悪い。

 ▼「バレてたら次官になってなかった」。前川氏は、安全保障関連法に反対する27年9月の国会前デモに参加していたことも退任後に白状した。来年以降、小中学校で本格実施される道徳の授業では、悪い見本として教えたらどうか。

 


タグ:産経抄
nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

【産経抄】エルサレム首都認定はテロを引き起こす 12月8日 [産経抄]

閉じる

【産経抄】エルサレム首都認定はテロを引き起こす 12月8日

エルサレムをイスラエルの首都だと認め、大使館を移すと発表するドナルド・トランプ米大統領の生命を聞くマイク・ペンス副大統領=6日、米ワシントンのホワイトハウス(ロイター)

 

 世界最古の都市の一つ、エルサレムは、イスラエルの首都であって首都ではない。イスラエルは1948年の第1次中東戦争の勝利により、西エルサレムを獲得した。

 ▼67年の第3次中東戦争で東エルサレムを占領併合して、首都と規定してきた。ただし、国際社会は認めていない。日本や米国を含めた各国は、大使館を商都テルアビブに置いてきた。

 ▼今から思えばイスラエルは、突破口にしようとしたのではないか。95年に開催された「エルサレム三千年祭」である。エルサレムが古代ユダヤ王国2代目の王ダビデによって、首都と定められていたのは、紀元前1千年ごろとされる。それから3千年になるのを祝って、国内ではさまざまな記念事業が繰り広げられた。

 ▼それと連動するかのように同じ年、米国の議会では在イスラエル大使館をエルサレムに移す法案を可決した。米国内のユダヤ系団体による激しいロビー活動の勝利である。もっとも、クリントン、ブッシュ、オバマの歴代大統領は執行を凍結してきた。エルサレムはユダヤ教だけでなく、イスラム教とキリスト教にとっても聖地である。パレスチナ自治政府は、東エルサレムを首都とする国家樹立をめざしてきた。米国が首都と認定すれば、アラブ諸国の激しい反発が予想されるからだ。

 ▼そんなタブーをトランプ大統領は、あっさり乗り越えてしまった。政権内の慎重な意見を抑えて、支持基盤である親イスラエル勢力の意向を優先したようだ。専門家によれば、今後の中東情勢の不安定化は避けられない。

 ▼米国内で9・11テロを上回るテロ事件が起き、同盟国の日本も攻撃の対象になる。作家の佐藤優さんは今年1月の小紙への寄稿で、こんな最悪の事態を憂慮していた。

 

 

 


タグ:産経抄
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

安くてウマい料理を探せ 12月6日 [産経抄]

閉じる

【産経抄】安くてウマい料理を探せ 12月6日

 「牛舌(タン)の塩づけのごとき安くてウマい料理法を簡単に公表されてはたちまち値上がり必然。これからはもっと、マズくて高いものをオイシク食べる方法を書け」。映画評論家の荻昌弘さんの自宅に、こんなハガキが届いた。

 ▼差出人は、東大の同級生の作家、三浦朱門さんである。食べ物をテーマにしたエッセーでも人気の高かった荻さんは、牛舌によるコンビーフの製造法を紹介したばかりだった。昭和47年に出版された『男のだいどこ』の一節である。

 ▼当時はまだ、日本人にとってなじみの薄い肉の部位だったようだ。三浦さんが心配した通り、現在では正真正銘の人気食材となっている。その点、高齢化と健康志向の高まりを受けて注目されている、鶏のむね肉なら安心である。

 ▼どこでも手に入り、もも肉より値段も安い。高タンパクで低脂肪、疲労回復に役立つ成分も豊富に含まれている。加熱調理をするとパサついてしまう。この難点についても、低温で調理したり酒に漬けたりと、おいしく仕上がる工夫がインターネットで次々に紹介されている。

 ▼食に関する調査・研究を行っている「ぐるなび総研」が、平成29年の世相を最も反映する「今年の一皿」に「鶏むね肉料理」を選んだのも当然である。ちなみに昨年の一皿は、パクチー料理だった。

 ▼美味で安価な料理がもてはやされるのは、今も昔も変わらない荻さんもある雑誌からアイデアを求められた。「イカのわたの塩まぶし」や「鮭(さけ)の頭のひずなます」など、「原料タダ」の料理を教えて感謝されたそうだ。昨今のスルメイカと鮭の記録的な不漁により、二皿はもはやタダどころか高級料理である。昭和63年に62歳で世を去った荻さんが知ったら、絶句するしかないだろう。

 


タグ:産経抄
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

「海岸線」の長すぎる国の宿命 12月5日 [産経抄]

閉じる

【産経抄】「海岸線」の長すぎる国の宿命 12月5日

 日本は海岸線の異常に長い国である。松本健一さんの著書『海岸線の歴史』から教わった。日本は四方を海に囲まれているだけではない。海岸線の多くが凹凸に富んでいるからだという。

 ▼なんと国土面積が日本の25倍近くもある米国の海岸線の1・5倍、26倍近くもある中国の2倍以上に達している。普段はほとんど関心を持たない事実に、いやでも向き合わざるを得ない出来事が続いている。

 ▼北朝鮮から来た船が日本海沿岸で相次いで漂着する事故については、先週のコラムでも書いた。先月28日には、北海道松前町の沖合にある無人の島でも木造船が見つかっている。その後、函館港の沖合に曳航(えいこう)された。現在は、海保や警察が北朝鮮国籍の10人の乗組員から事情を聴いている。島にある漁業者の小屋に置かれていたテレビから灯台のソーラーパネルにいたるまで、根こそぎ持ち出した疑いがある。

 ▼松本さんによると、江戸時代中期までの日本には、島国に閉じこもっていれば安心という内向きの精神性ができあがっていた。しかし実際には、外国人による上陸や略奪事件が起きていた。戦後の日本人の海防に対する意識も似たようなレベルである。それにつけ込んだ北朝鮮は工作員を次々に船で送りつけ、日本人の拉致を繰り返してきた。

 ▼「在韓米軍兵士の家族を韓国から退避させるべきだ」。北朝鮮による新型ミサイル発射をめぐり、米共和党の上院議員がテレビのインタビューで、軍事衝突が近づいている、との認識を示した。そうなれば、北朝鮮から大量の難民が日本海を渡って押し寄せてくる事態が想定される。

 ▼なかにはテロリストが潜んでいるかもしれない長すぎる海岸線を持つ国の宿命とはいえ、悪夢のような国難である。

 


タグ:産経抄
nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

新たな歴史戦を覚悟しなければならない 12月4日 [産経抄]

閉じる

【産経抄】新たな歴史戦を覚悟しなければならない 12月4日

 「坂本龍馬」や「吉田松陰」「上杉謙信」が、高校の教科書から消える。先月半ば、一部のメディアが報じると、龍馬ファンが反発するなど大騒ぎになった。

 ▼高校や大学の教員ら約400人でつくる研究会が公表した歴史用語の精選案から、漏れてしまった人名である。もっとも問題の本質は、「龍馬」ではない。精選案に残される人名以外の用語のなかに、「従軍慰安婦」と「南京大虐殺」が含まれていた。

 ▼従軍慰安婦は、戦後の造語である。しかも慰安婦が従軍看護婦や従軍記者のように、直接軍の管理下にあったかのような誤解を生んできた。中学生の教科書からは、すでに消えている。南京大虐殺も「南京事件」に比べて、ことさら日本軍の残虐性を強調した言葉である。

 ▼暗記力より思考力育成につなげるのが狙いだという。研究会側の説明には、納得がいかないなぜ実証的な研究から問題が多いとされる用語を選んだのか。中国と韓国におもねった偏った史観に、高校生を導こうとしているのではないか。そんな疑念がぬぐえない。精選案が受け入れられれば、入試での基準の用語にもなる。

 ▼平成16年の大学入試センター試験の世界史の問題で、第二次大戦当時はなかった朝鮮人の「強制連行」があたかも確定的な史実として出題され、問題になった。「これからは、『従軍慰安婦』『南京大虐殺』といった、語句や数、出来事自体が不確かな事柄を『歴史的事実』とすることなく、中立な立場で出題するよう望みます」。当時の受験生は、こんな投書を小紙によこしたものだ。

 ▼これからの受験生はますます、中立からかけ離れた出題に悩まされるかもしれないわれわれは新たな歴史戦を覚悟しなければならないようだ。

 

>日本の最大の敵は国内に在り!

 此の面々が社会、歴史の教師である事が一番の問題ではないのか?

 この研究会に権限、権威はあるのか?文科省は?

 文科省も反日分子の巣窟の疑念も強い、教科書選定の前科も在る。

 何れにしても、伝統日本、歴史、日本流を決して顧みない戦後教育界

 政治家と国民の強力な監視が必要!!

 


タグ:産経抄
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

長崎県平戸市長が「朝日新聞の購読をやめた」理由 12月2日 [産経抄]

閉じる

【産経抄】長崎県平戸市長が「朝日新聞の購読をやめた」理由 12月2日

黒田成彦・平戸市長のツイッター

 

 長崎県平戸市の黒田成彦市長が11月28日付の自身のツイッターで、「市長室では朝日新聞の購読をやめた」と表明したことが話題を呼んでいる。理由は「誤報を垂れ流す広報媒体を排除する」というのだから、手厳しい。森友・加計学園問題に対する朝日の報道姿勢が念頭にあったようだ。

 ▼購読中止宣言後、黒田氏のツイッターにはたくさんの賛同メッセージが届き、わずか2日間でフォロワーが一気に千人近く増えた。市長室によると、市のホームページ上の「市長へのご意見箱」に寄せられたメールにも、否定的な意見はなかった。

 ▼新聞やテレビなどマスコミに対する国民の視線が、年々冷ややかになっていくのをひしひしと感じる。平戸市長室は産経、読売、毎日、日経、西日本、長崎の各紙はまだ購読中だとのことだが、同様の事例が今後、増えていくかもしれない。

 ▼だからこそ、マスコミ側はより謙虚に振る舞う必要があるはずだが、実態はどうか。先の衆院選をめぐり、10月8日に行われた党首討論会を取り上げた日本記者クラブ会報(11月10日号)を読むと、一般社会とマスコミの意識の乖離(かいり)に暗澹(あんたん)たる気分になる。

 ▼討論会での記者の尊大な質問態度に関し、記者クラブ事務局は多くの「お叱り」を受けたのだという。それに対する専務理事の感想は「近年、この種の抗議が多くなったことが気にかかる」とまるで反省はみられない

 ▼インターネット上で「炎上」したと記す朝日の質問者は「あぁ、あほらし屋の鐘が鳴る」。非礼を指摘された毎日の質問者は「『非礼』は安倍(晋三首相)会見には不可欠な資質」と開き直っていた。なぜ批判されているのかも理解できない姿をみると、残念ながらマスコミの未来は明るくない。

 


タグ:産経抄
nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

北朝鮮は憲法9条を欲している 11月30日 [産経抄]

閉じる

【産経抄】北朝鮮は憲法9条を欲している 11月30日

北朝鮮の労働新聞が8日掲載した、朝鮮労働党中央委員会総会で報告を行う金正恩党委員長の写真(コリアメディア提供・共同)

 

 中米のコスタリカは日本と同じように憲法で軍隊の保有を禁止している。国際ジャーナリストの伊藤千尋(ちひろ)さんは先日、毎日新聞紙上で日本もこの国の平和主義に学ぶべきだと説いていた。周辺国に対話の重要性を訴え、「平和の輸出」を行っているそうだ。なんともうらやましい。

 ▼おそらく、隣国からのミサイル飛来を24時間監視する必要もないのだろう。北朝鮮は昨日、ICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射して、日本海に落下させた。Jアラートが鳴らなかったのは、自衛隊がミサイルの軌道を見極め、政府が列島に落下物がないと判断したからだ。

 ▼北朝鮮は声明で、新型ミサイルは米全土の攻撃が可能と、実験の成果を誇示した。ただ今回、太平洋に向かわなかったのは、米国を過度に刺激しないように配慮した、との分析がある。「専守防衛」の日本の反発はまったく気にしていない。北朝鮮はすでに、日本全土を射程に入れた200基以上のミサイルを配備済みである。

 ▼昨日小紙に掲載された、北朝鮮の金賢姫(キム・ヒョンヒ)元工作員のインタビュー記事を興味深く読んだ。日本人になりすまして、乗員乗客115人を乗せた大韓航空機を爆破する事件を起こしてから、もう30年たつ。

 ▼その10年前には、13歳の横田めぐみさんが工作員に拉致されている。北朝鮮は、日本国憲法が日本人にもたらした「平和ぼけ」をあざ笑うかのように、国家テロを実行してきた。

 ▼伊藤さんによると、西アフリカ沖のスペイン領カナリア諸島には、憲法9条の碑がある。「世界には憲法9条を欲している人たちがいる」。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長もその一人であろう。米国に核保有を認めさせ、朝鮮統一の野望を遂げるまで、日本に邪魔されたくないからだ。


タグ:産経抄
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

世の中にこれほどの理不尽はあるだろうか 11月28日 [産経抄]

閉じる

【産経抄】世の中にこれほどの理不尽はあるだろうか 11月28日

秋田県由利本荘市の「本荘マリーナ」付近に漂着した、北朝鮮から来たとみられる木造船。25日早朝には姿が見えなくなった=24日(福島範和撮影) 

 

 作家の故吉村昭さんに『船長泣く』という短編がある。漂流した漁船で乗組員が次々に死んでいくなか、船長は遺書を書いた。「トッタンノイフコトヲキキナサイ。オキクナリテモ、リョウシハデキマセン。カシコクナリテクレ、タノミマス」。

 ▼漁師になって自分と同じ運命をたどるな、と幼い息子に説いている。書き終えた船長の目からは、涙がにじみ出た。モデルになったのは、大正15年12月に銚子沖で起きた「良栄丸」の遭難事故である。黒潮に乗って漂流し、米国のシアトル沖で翌年10月に発見されたとき、2人がミイラ、10人が白骨となっていた。

 ▼今月23日、秋田県由利本荘市の海岸に北朝鮮籍のイカ釣り漁船が漂着した。乗船していた船長ら8人の男性は全員無事だった。冬の荒れた日本海を約1カ月にわたってさまよっていたという。幸運としかいいようがない。その後男鹿市の海岸で見つかった木造船からは、8人の遺体が見つかった。やはり北朝鮮の船の可能性がある。

 ▼5年前から、脱北者ではない北の住民が日本沿岸で保護されるようになった。遺体を乗せた漁船の発見も相次いだ。背景にあるのは、金正恩朝鮮労働党委員長が力を入れている漁業の振興である。

 ▼食糧事情の悪化を食い止め、外貨も稼ごうとしている。沿岸の漁業権を中国企業に売却したとの報道もある。その結果、北の漁民は日本の排他的経済水域(EEZ)内の好漁場にまで乗り出して違法な操業を繰り返し、事故の急増にもつながっている。

 ▼過去の事例では、帰国を望む8人はまもなく本国に戻される。北朝鮮は拉致被害者を帰還させるどころか、その動静を伝えることさえ拒否したままである。世の中にこれほどの理不尽があるだろうか。

 


タグ:産経抄
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

モヤシは根っこもうまい 11月27日 [産経抄]

閉じる

【産経抄】モヤシは根っこもうまい 11月27日

 ダイエーの創業者、中内功さんは生前、新しい店のオープン前に店内巡回するのを習慣としていた。少しでも鮮度の悪いモヤシでもあろうものなら、売り場の担当者の頭にザルごとぶっかけた(『カリスマ』佐野眞一著)。

 ▼モヤシがスーパーの安売り商品の目玉になったのは、いつからだろう。日本人にとって身近な野菜になったのは、インスタントラーメンが流行した昭和30年代半ばからだ。工場で生産するモヤシは、季節や天候に関係なく出荷でき、価格も安定している。卵とともに「物価の優等生」と呼ばれてきた。

 ▼ところが最近、コストの上昇が著しい。国内で消費されるモヤシの8割の原料となっているのが、中国産の「緑豆」である。その価格が10年前に比べて約3倍に跳ね上がっているのだ。たまりかねた生産者の団体は今年3月、このままではモヤシが食卓から消えてしまう、とスーパーなどに店頭価格の引き上げを訴えた。

 ▼もっとも、事態はまだ改善にはほど遠い。埼玉県内のあるスーパーでは今秋、1袋(200グラム)19円で売られていた。ピークだった平成4年頃の平均価格は41円である。これでは採算が取れるはずがない。

 ▼深谷市のモヤシ生産農家2代目、飯塚雅俊さんは、たった一人で「価格破壊」と闘ってきた。緑豆ではなくブラックマッペという豆を使い、昔ながらの作り方にこだわっている。スーパーから取引を断られ廃業寸前に追い詰められながらも、消費者にモヤシの魅力を発信し続けてきた。

 ▼その奮闘を綴(つづ)った『闘うもやし』を読むと、モヤシがどれほど誤解されてきたかよくわかる。たとえば料理の専門家は、モヤシの根を取るとおいしくなると教えてきた。飯塚さんは根っこはうまい、と断言する。

 


タグ:産経抄
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

芥川には〈木がらしや目刺にのこる海の色〉という句もあった。よほど不安だったのだろう。 [産経抄]

閉じる

【産経抄】11月26日

 芥川龍之介は、仮名の形にも美醜や好悪の情を覚えた。例えば〈「い」は落ち着いてゐる、「り」は如何にも鋭い〉と随筆に書き留めている。文字を子細にながめたことのある人は、よく似た経験をお持ちだろう。

 ▼災難だったのが「く」の字で、芥川は文字のつくりを嘆いていわく〈折れ釘(くぎ)のやうに、上の文章の重量をちやんと受けとめる力に乏しい〉。縦書きしかない時代に生きた文豪の、繊細な神経がしのばれる。罪のない文字に同情しつつ、格調高い小言に深くうなずく。

 ▼原稿用紙の上のみならず地球儀の上でも煙たがられ、やはり幸薄い仮名らしい。本州の南側に12年ぶりとなる巨大な「く」の字が現れ、東海や関東でのシラス不漁の責めを負わされている。本来なら太平洋を東北東へと緩やかに流れる黒潮の帯が、大蛇行している。

 ▼不漁は「く」の字に伴う海水温の変化が原因といい、10月の台風による高潮被害も大蛇行が災いしたという。北太平洋で秋サケやサンマ漁の実入りが乏しいと聞けば、異変との相関が気になる。潮の流れに折り目正しさを求めても詮無いが、望ましいコースはある。

 ▼ものの本によれば、深層水を含む海水は約2千年で世界を循環するという。過去の例から「大蛇行は1年以上続く見通し」と聞いても驚かない。地球という大きな浴槽をかき回せばこちらの海で温度が下がり、あちらの海で温度が上がる。それが自然の摂理だろう。

 ▼これから迎える冬の食卓に大きな余波が及ばぬ事を祈るのみである。貝殻で海を量るのは慎むとして、この星に間借りする身は天地の異変に神経質でありたい。芥川には〈木がらしや目刺にのこる海の色〉という句もあった。よほど不安だったのだろう。「く」の字は用いていない。

 


タグ:産経抄
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

もうひとつの「いい夫婦」の物語 11月24日 [産経抄]

閉じる

【産経抄】もうひとつの「いい夫婦」の物語 11月24日

 97歳の夫と90歳の妻が、ともに現役のプロとして闘っている。世界でもあまり例がない夫婦ではないか。囲碁の杉内雅男九段と寿子(かずこ)八段である。

 ▼杉内九段はトッププロとして、昭和の全盛期にはタイトル戦でも活躍した。平成に入っても気力は衰えなかった。将棋界のヒーロー、藤井聡太四段のデビュー戦は、加藤一二三九段との62歳の年齢差も話題になった。杉内さんは昨年、15歳の高校生棋士との対局で、年齢差80歳の記録をつくっている。

 ▼今年9月の毎日新聞には、女性初の九段を目指す寿子さんと自宅の碁盤で研究に励む姿が紹介されていた。「引退は考えていません」。記事で宣言していた杉内さんの突然の訃報が届いた。

 ▼2人は戦後まもなく、囲碁の研究会で知り合った。復員してきたばかりの杉内さんは、酒やたばこ、ギャンブルに無縁で、囲碁以外の会話もほとんどしない。ついたあだ名が「囲碁の神様」である。寿子さんが昇段したとき、たまたま日本棋院の廊下で会った杉内さんは、「おめでとう」と声をかけて通り過ぎた。このとき「電気に打たれたようになった」と、寿子さんはなれそめを語っている。今では珍しくない、棋士同士のカップルの先駆けでもある。

 ▼寿子さんは若い頃から短歌に親しんできた。いつしか夫婦共通の趣味となった。「いさぎよき世界に生きて半世紀 修業なかば古希とはなりぬ」「古希むかえ君青年の気概あり ともに歩まむ求道の日々を」。杉内さんが70歳を迎えたときの相聞歌である。2人はその後も、短歌のやりとりを続けただろうか。

 ▼一昨日は、英国のエリザベス女王(91)とフィリップ殿下(96)の「プラチナ婚」を取り上げた本日は、もうひとつの「いい夫婦」の物語である。

 


タグ:産経抄
nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

神様に恵みを感謝するどころか… 11月23日 [産経抄]

閉じる

【産経抄】神様に恵みを感謝するどころか… 11月23日

 俳人の坪内稔典(ねんてん)さんは、毎年「勤労感謝の日」がやってくると、胸がキュンとなるそうだ。坪内さんの故郷、愛媛県西部の佐田岬の中ほどにある村では、「ほごこかし」と呼んでいた。

 ▼「ほご」は畑仕事に使う俵、「こかし」は転がす。つまり、秋の仕事じまいを意味する。この日は大人も子供も町に出て、買い物や食事を楽しんだ。小学5年生の坪内少年は初めて本屋に入って、文庫本の若山牧水の歌集を買った。それが俳人としての原点だという(『モーロクのすすめ』岩波書店)。

 ▼小紙の読者には、祝日の由来の説明は不要だろう宮中では本日、新嘗祭(にいなめさい)の儀式が行われる。身を清めた天皇陛下が、神々に新穀を供えて神恩に感謝し、自らもお召し上がりになる。宮中祭祀(さいし)のなかでもっとも重要な儀式である。

 ▼その起源は史料として『日本書紀』に残るほど古い。朝廷だけではない。坪内さんの故郷のように、各地の農村ではそれぞれの呼び方をしながら、収穫を祝い、農作業の疲れを癒やす特別の日としてきた。現在でも全国の神社では、その年に取れた米や新米で造った酒、果物、魚などを神前に捧(ささ)げる、新嘗の祭りが行われている。

 ▼そんな大切な日を迎えるからこそ、余計に胸くそ悪く感じる事件である。北海道ではこの時期、サケの密漁が問題になってきた。今年はさらに人工孵化(ふか)施設で、雌ザケの腹が割かれ、卵だけが盗まれる被害が相次いでいる。サケの記録的な不漁が背景にある。イクラや筋子の卸値は、例年の2倍にまで跳ね上がっている。

 ▼もちろん犯人には、神様に海の恵みを感謝する気持ちなどこれっぽちもない。それどころか、サケは食べ物でさえない。貴重な卵はさしずめ、換金が容易な宝石に見えるのだろう。

 


タグ:産経抄
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

きょうはいい夫婦の日 平穏でなくても「結婚生活で重要なのは忍耐」と語った人は?11月22日 [産経抄]

閉じる

【産経抄】きょうはいい夫婦の日 平穏でなくても「結婚生活で重要なのは忍耐」と語った人は?11月22日

英ロンドンで、結婚式を挙げた後に記念撮影するエリザベス女王(左)とフィリップ殿下=1947年11月20日(AP)

 

 2006年に公開された英国の映画「クィーン」では、金婚式を間近に控えたエリザベス女王とフィリップ殿下夫妻の日常生活が描かれている。「おやすみ。キャベツちゃん」。殿下は女王に声をかけてベッドに入っていた。実際、この愛称で呼ぶことがあるらしい。

 ▼女王(91)と殿下(96)は今月20日、結婚70周年を迎えた。英王室で結婚70年の「プラチナ婚」を迎える初めてのカップルである。ギリシャの王族に生まれた殿下は、軍部のクーデターにより亡命を余儀なくされる。1939年に18歳で英海軍に入り、幹部学校に入学した。まもなくここを訪れたエリザベス王女と恋に落ちる。13歳の王女の一目惚(ぼ)れだったという。

 ▼英国は第二次世界大戦に勝利したものの、傷痕は大きかった。ロンドンのウェストミンスター寺院で行われた2人の結婚式は、国民の鬱屈を吹き飛ばす効果があった。5年後に父の国王ジョージ6世の急死を受けて、25歳の王女が女王に即位する。殿下は女王を支える立場を受け入れた。

 ▼2人の結婚生活は常に平穏だったわけではない。多忙な公務によって、離れている時間も多かった。不仲説もメディアに流れた。4人の子供のうち3人が離婚を経験している。なかでも映画の舞台となった97年の夏は、王室の危機を迎えていた。自動車事故死したダイアナ元妃に対して王室が冷淡すぎると、国民の間で非難の声が巻き起こった。

 ▼力を合わせて乗り切った2人は無事、金婚式を迎えた。「結婚生活で重要なのは忍耐。女王は忍耐強さの点で優れている」「殿下は私の強さである」。お互いをたたえ合ったものだ。

 ▼今も殿下は女王を「キャベツちゃん」と呼んでいるのかどうか。本日は「いい夫婦(1122)の日」である。


タグ:産経抄
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

悪質クレームつけても「神様」と思い込んでいる お客様は神様ではない 11月20日 [産経抄]

閉じる

【産経抄】悪質クレームつけても「神様」と思い込んでいる お客様は神様ではない 11月20日

 「お客様は神様です」。「国民的歌手」の故三波春夫さんの名文句である。これほど誤解されて広がった言葉も珍しい。実は、お客様イコール神様の意味ではない。芸の始原とは、神を前にしてのパフォーマンスだったといわれる。三波さんも、観客を神様に見立てて雑念を払っていた。いわば芸人としての誇りを示した言葉である。

 ▼観客にへつらっていたわけではなく、実際、理不尽な振る舞いは許さなかった。ある公演で紙テープを大きなかたまりにして投げつけた若者を、歌の途中で「無礼者!」と怒鳴りつけたこともある。残念ながら、いまだに自分を「神様」と思い込んでいる、困った「お客様」が少なくない。

 ▼スーパーやコンビニなどの従業員の約7割が、客から暴言や脅迫などの悪質なクレームを受けた経験があるという。「死ね、辞めろ」などと暴言を吐き、土下座を強要する。接客中の女性従業員の腰や尻を触る。こうした客の迷惑行為によって、従業員が精神疾患や退職に追い込まれるケースが後を絶たない。

 ▼もちろん顧客には、サービスに対して苦情を申し立てる権利がある。それが「モンスター化」して深刻な問題になったのは、約10年前からだ。流通業界だけではない。学校や病院も、「モンスターペアレント(保護者)」や「モンスターペイシェント(患者)」に悩まされている。

 ▼社会が便利になりすぎて、ますます理想のサービスが求められるようになった。企業の顧客第一主義の行き過ぎを指摘する声もある。来日する外国人観光客が一様に感嘆する「おもてなし」が、モンスターを増殖させたことになる。

 ▼そろそろ、サービスの提供者と客は対等という原点に戻るべき時である。お客様は神様ではない

 


タグ:産経抄
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

陳謝も急ぎすぎちゃった 世界が驚く日本の鉄道 11月19日 [産経抄]

閉じる

【産経抄】陳謝も急ぎすぎちゃった 世界が驚く日本の鉄道 11月19日

つくばエクスプレス

 日本の鉄道事業に制服制度を残したのは、後藤新平だった。かつて国有鉄道を管理した鉄道院の初代総裁である。「怠惰を制し、放逸を戒め、規律を確守し、責務を重んじ、これを全うさせる」。制服の役目を問われ、後藤はこう述べている(『時代が求める後藤新平』藤原書店)。

 ▼鉄道マンにとって、制服は第2のブレーキだろう。昨今はしかし、居眠り運転に携帯電話をいじる「ながら運転」など、先人の遺訓に背く不届き者が多い。それゆえ新鮮な驚きを伴う出来事もある。つくばエクスプレスの運行会社が遅延ならぬ「早発」を陳謝した。

 ▼今月14日、千葉県内の駅を定刻の「午前9時44分40秒」に発車するところを20秒早く出た、と。運転士の確認不足が原因だという。正確なダイヤを売り物にする日本ならではのニュースだが、「これは問題なのか」とニューヨークの大衆紙が報じたのも無理はない。

 ▼時刻表を違えたわけでも、乗り遅れた客がいたわけでもない。20秒への懺悔(ざんげ)は、「守るのは時間ではなく人の命」という自戒の表れだろう。駆け込み乗車を招きかねない早発は看過できなかったに違いない。律義な国民気質というより鉄道マンの矜持(きょうじ)をそこに見る。

 ▼後藤はどんな会議に出るにも定刻の少し前に着座した。「早し良し、丁度良し危なし」と後藤の言葉にある。鉄路の上を走るのは冷たい鉄の塊ではなく人の命である。安全を売りにする鉄道会社に敬意を表し、乗客の側も「早し良し」をせめてもの心掛けとしたい。

 ▼会社のホームページには陳謝の文に添え「お客様より当該列車にご乗車出来なかった等の申告は“ございせん”」とある。書いた人は少しの「間(ま)」も惜しんだのだろう。拙速と言うまい。「早し良し」とつぶやく。

 


タグ:産経抄
nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

「もし拉致被害者を返すとなったら…」北朝鮮に状況打開の大きなヒント 11月18日 [産経抄]

閉じる

【産経抄】「もし拉致被害者を返すとなったら…」北朝鮮に状況打開の大きなヒント 11月18日

拉致被害者の横田めぐみさん(提供写真、横田滋さん撮影)

 

 拉致問題を動かすテコとなるだろうか。米国は来週初めにも、北朝鮮をテロ支援国家に再指定するかどうかの決定を発表する。指定国への経済援助は禁止され、金融制裁などが科されるため、国際金融機関から北への融資も滞る。ただでさえ、国連安全保障理事会や各国独自の制裁を受けている北は、いよいよ窮地に陥る。

 ▼平成14年9月の小泉純一郎首相による初訪朝時に、金正日総書記が拉致を認めたときは、テロ支援国家指定が継続中だった。この年1月、ブッシュ米大統領が北を「悪の枢軸」と呼び、武力行使の標的候補の一つに特定していた。

 ▼今回、北が再指定されれば、状況は15年前と似てくる。圧力にあえぎ、追い詰められた北が、再び日本との関係改善に活路を求めてくる可能性もあるだろう。その意味でも、トランプ米大統領が今月6日、拉致被害者家族らと膝詰めで面会した事実は大きい。

 ▼「金正恩朝鮮労働党委員長がもし拉致被害者を返すとなったら、多くの特別なことの始まりになる」。トランプ氏は同日の安倍晋三首相との共同記者会見で、こう示唆した。金体制が自ら拉致被害者を返したら、「大変に大きなシグナル」だとも強調している。

 ▼トランプ氏は安倍首相と何度も北問題にどう対応するか協議しており、その中には当然、拉致問題も含まれる。それを踏まえた上でのこの発言は、八方ふさがり状態にある北にとり、状況打開の大きなヒントになったのではないか。

 ▼もちろん、現在の北情勢は予断を許さず、事態を楽観はできない。ただ、わずか13歳だった横田めぐみさんが拉致されて40年がたつ不条理と、肉親の苦悩を思うと、一刻も早い問題解決を祈るのみである。日本外交の底力を見せてほしい。

 


タグ:産経抄
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

マンデラとムガベ「歴史上の巨人」と「最悪の独裁者」 11月17日 [産経抄]

閉じる

【産経抄】マンデラとムガベ「歴史上の巨人」と「最悪の独裁者」 11月17日

 アフリカ南部ジンバブエのムガベ大統領(93)の妻、グレースさん(52)は「グッチ・グレース」と呼ばれている。高級ブランドがお好みらしい。気性の激しい女性でもある。今年8月には、隣国の南アフリカのホテルで、息子の知人の女性モデル(20)の顔を電気コードで殴り傷を負わせた。

 ▼首都ハラレで起きた国軍によるクーデターも、グレースさんが大きく関わっている。ムガベ氏は1980年の独立以来、37年間にわたり権力の座に君臨してきた。今月はじめ、長年の側近だったムナンガグワ第1副大統領(75)を解任して、グレースさんを後継者に指名しようとした。国軍がそれに異を唱えて、直接行動に出たわけだ。

 ▼先妻をがんで亡くしたムガベ氏は、96年に秘書だったグレースさんを妻にした。結婚式には、南アフリカのマンデラ大統領の姿もあった。2人は、ともに白人政権に対する闘争に勝利した盟友だった。もっとも、この後の指導者としての歩みは大きく異なる。

 ▼マンデラ氏は、白人との融和政策を進め、わずか1期で政界を引退する4年前に95歳で亡くなると、世界中から首脳が弔問に訪れ、「歴史上の巨人」とたたえられた。一方のムガベ氏は融和に逆行して、白人の農園を強制収用して黒人に分配した。反対勢力を武力で弾圧して、権力にしがみついてきた。欧米社会では「世界最悪の独裁者」の評価が定着している。

 ▼そんなジンバブエを支え続けたのが、中国である。ノーベル平和賞に対抗する「孔子平和賞」には、もちろんムガベ氏も選出した。今回の政変については、国軍の司令官が先週北京を訪問して説明しているようだ。

 ▼つまり後継者が誰であれ、中国政府の眼鏡にかなった人物であることだけは確かである

 


タグ:産経抄
nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

タモリさんも「チバニアン」には興味津々だろう 11月15日 [産経抄]

閉じる

【産経抄】タモリさんも「チバニアン」には興味津々だろう 11月15日

「チバニアン」のもとになった千葉県市原市の地層=平成28年12月、千葉県市原市

 

 宮沢賢治は、「石っこ賢さん」と呼ばれるほど、石集めが好きな少年だった。岩手の農林学校では地質学を学び、地質調査旅行にも出かけた。多くの作品に鉱物や岩石を登場させている。

 ▼NHKの人気番組「ブラタモリ」に出演中のタモリさんも、ひょっとして「石っこ」だったのではないか。全国各地をぶらぶら歩きながら、しばしば専門家が絶句するほどの地質学の知識を披露している。

 ▼今年6月には、番組が日本地質学会から表彰を受けて話題になった。「地質学の社会への普及」が理由である。そんなタモリさんにとって、興味津々のニュースであろう。地球の長い歴史のうち、約77万~12万6千年前の時代が「チバニアン(千葉時代)」と呼ばれる可能性が高まった。

 ▼地球は誕生してから、何度も地磁気の南北逆転を繰り返してきた。最後に起きたのが、77万年前とされている。千葉県市原市内にある地層で、地磁気の逆転の痕跡が明確に確認できる。それが評価されたという。

 ▼ニュースでもう一つの日本の快挙を知った。そもそも1929年に地磁気が逆転する現象を世界で初めて発表したのは、地球物理学者の松山基範(もとのり)だった。すでに地磁気の年表には、松山の名前が刻まれている。新しい地学の教科書には、くわしく記載されるだろう。

 ▼ただ残念なことに、地学は高校では不人気な科目である。入試で、多くの大学が理科の受験科目からはずしているからだ。地球を対象とする地学には、地質学や気象学から天文学まで含まれる。地学離れは、地震や火山の噴火、台風に悩まされてきた日本にとって由々しき事態である。「チバニアン」をきっかけに「石っこ」になった少年少女が、地学を人気科目に押し上げてほしい。

 

 


タグ:産経抄
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

11・15は拉致問題解決の道しるべ 11月14日 [産経抄]

閉じる

【産経抄】11・15は拉致問題解決の道しるべ 11月14日

 昭和52(1977)年とは、どんな年だったのか。手元にある日本現代史の年表を開いてみる。9月3日には、巨人の王貞治選手が通算756本塁打を記録し、米大リーグ記録を上回った。

 ▼28日には、パリ発の日航機が日本赤軍にハイジャックされた。日本政府は、人質となった乗員乗客を解放するために、高額の身代金を支払い、過激派6人を釈放した。「人命は地球より重い」。当時の福田赳夫首相の判断である。

 ▼13歳の横田めぐみさんが北朝鮮の工作員によって拉致されたのは、それから1カ月半後の11月15日だった。明日で40年を迎える。「地球より重い」存在であるはずの一人の少女に降りかかった凶悪犯罪は、重大な主権侵害でもある。にもかかわらず、年表にはまったく記載がない。

 ▼先月、めぐみさんを主人公にした舞台劇を映像化した『めぐみへの誓い』を見てきた。北朝鮮の病院に入院中のめぐみさんが、夢の中で両親に再会する場面では、涙が止まらなくなった。非道な国への怒りがあらためてこみ上げてくる。

 ▼なぜかくも長く、めぐみさんを救出できないでいるのか。「責任は日本社会全体にある」。上映会の後に開かれたトークライブで、阿部雅美さんが指摘していた。拉致事件を初めて報じた小紙の元社会部記者である。平和ボケが蔓延(まんえん)していた日本では、工作員のやりたい放題だった。めぐみさんの事件が明らかになるまで、20年もかかっている。メディアの罪も小さくない。

 ▼めぐみさんは53歳になった。残された時間は少ない。拉致問題を解決する具体的な方策について、社会全体で議論を急がなければならないめぐみさんの帰国がかなうまで、11・15は拉致問題解決への道しるべとなるべき日付である。

 


タグ:産経抄
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース