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その響き百千の雷をなし 3月29日 [産経抄]

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2017.3.29 05:04

【産経抄】その響き百千の雷をなし 3月29日

 雪崩の本当の恐ろしさを知るのは、体験した人だけである。日本の雪崩研究のパイオニアだった故高橋喜平さんも、岩手県の雪山で巻き込まれた。

 ▼4メートル上方から雪が落ちてきた瞬間、「汽車が急停車したときのような衝動」を受けた。ほとんど意識を失い、気がついたら80メートル下の雪上に立っていた。片方のスキーが何かの突起物に引っかかって偶然取り残されたらしい。助かったのは奇跡である。

 ▼高橋さんによれば、すでにある固い雪の上に、新しく降り積もった部分が滑り落ちる「表層雪崩」だった。日本では、斜面全体の雪が全て崩れ落ちる「全層雪崩」に比べて、こちらの遭難が圧倒的に多い。前兆が少なく、滑落速度も大きいからだ。

 ▼栃木県那須町のスキー場で27日に発生した雪崩も、表層雪崩だった可能性が高い登山の講習会に参加していた県立高校の男子生徒ら8人の命が奪われた。高橋さんは、かつて小紙のインタビューで、表層雪崩についてこう語っている。「降雪量の多い時は注意しなければいかんです。風がともなう場合はさらに何倍か危険だ。そういう時は無理をしない」。

 ▼現場は、まさにその通りの天候である。前日からなだれ注意報も継続中だった。当日朝予定していた登山は中止になった。ではなぜ、雪をかき分けて歩くラッセルの訓練を続行したのか。引率した教員の判断に、無理があったと言わざるを得ない。

 ▼「幾千丈の山の上より一度に崩れ頽(おつ)る、その響き百千の雷(いかずち)をなし大木を折り大石を倒す」。江戸後期の文人、鈴木牧之(ぼくし)は、『北越雪譜』で、雪崩の破壊力の大きさをつづっている。昔も今も、雪崩の脅威には逆らえない。無理をせず、危険地帯に近づかない知恵だけが命を守ってくれる。


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千葉・9歳女児遺体 子供が1人になる時間を見逃さない卑劣な犯罪者、日本は危険な国になり果ててしまったのか 3月28日 [産経抄]

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2017.3.28 05:04

【産経抄】千葉・9歳女児遺体 子供が1人になる時間を見逃さない卑劣な犯罪者、日本は危険な国になり果ててしまったのか 3月28日

 小学3年の女の子マキシは、まだおむつのとれない弟と、大学生のお兄ちゃんの3人きょうだいである。ある日、パパとママに家を空ける用事ができて、マキシと弟は、1人暮らしをしているお兄ちゃんのアパートで過ごすことになった。

 ▼ドイツの児童文学作家、グードルン・メプスさんは、『世界一の三人きょうだい』(徳間書店)で、3人の1週間の暮らしをユーモアたっぷりに描いている。マキシは弟のトイレの世話をしたり、お兄ちゃんといっしょに大学で講義を受けたりと、大忙しである。

 ▼千葉県松戸市に住む小学3年でベトナム国籍のレェ・ティ・ニャット・リンさん(9)も、弟思いのお姉さんだったようだ。自宅近くで、4歳の弟を自転車に乗せて歩く姿が目撃されている。学校では人気者で、近所の人たちにもかわいがられていた。修了式の24日朝、登校中に行方がわからなくなり、自宅から12キロ離れた草むらで遺体となって見つかった。

 ▼「9歳の壁」という言葉がある。子供の成長過程における、大きな変わり目を意味している。学習内容は、低学年に比べて思考力が必要になってくる。親の干渉から離れて、友達との関わりも強まる。青年期の入り口とみなしてもいい。

 ▼とはいえ、まだまだ大人の庇護(ひご)が必要である。『世界一の三人きょうだい』で、さまざまな冒険を繰り広げたマキシと弟も、常に両親や兄、兄の知人の目の届く場所にとどまっている。

 ▼リンさんの自宅から小学校までは、住宅街を抜けるわずか500メートルの通学路である。中間地点では、地域住民が見守り活動をしていた。それでも卑劣な犯罪者は、子供が1人になるわずかな時間を見逃さない日本はそんな危険な国になり果ててしまったのか。


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「痛みに耐えてよくがんばった。感動した」稀勢の里と貴乃花 2人の力士人生3月27日 [産経抄]

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2017.3.27 05:03

【産経抄】「痛みに耐えてよくがんばった。感動した」稀勢の里と貴乃花 2人の力士人生3月27日

大相撲春場所で逆転優勝を果たし、内閣総理大臣杯を手にする新横綱の稀勢の里=26日、大阪市のエディオンアリーナ大阪(高井良治撮影
 元横綱武蔵丸の大関時代のエピソードである。本場所中に40度以上の熱が出た。幕内土俵入りを終えて支度部屋に帰ったところで力尽きる。なんとか体を温めようと風呂につかってから、土俵に上がった。

 ▼それから先の記憶がまったくないという。病院にいく車の中で気を失ったらしい。もっとも次の朝部屋で目を覚ますと、普段通りの稽古をやった。「俺としては、それが普通だと思っていたよ」。ノンフィクション作家の武田葉月さんのインタビューに答えている(『横綱』講談社文庫)。

 ▼大関が簡単に休場するわけにはいかない。まして角界の頂点にいる横綱には、本場所興行を成功に導く責務がある。春場所13日目の日馬富士戦で、稀勢の里が受けた左肩周辺ダメージはかなり大きそうだった。何より左腕は稀勢の里の最大の武器である。それでも新横綱は、土俵に上がり続ける道を選んだ。

 ▼昨日の千秋楽では、照ノ富士の圧倒的有利との下馬評を覆し、本割、優勝決定戦ともに勝って、まさかの逆転優勝である。白鵬不在の場所で、最後まで主役を演じ続けたのは、やはり稀勢の里だった。新横綱の優勝は、貴乃花以来の22年ぶりの快挙である。

 ▼稀勢の里の雄姿から、だれもが思い浮かべたのが、その貴乃花の「鬼の形相」だろう。右ひざのけがを抱えながら、平成13年夏場所で優勝決定戦を制した。「痛みに耐えてよくがんばった。感動した」。表彰式で当時の小泉純一郎首相がたたえたものだ。敗れた武蔵丸にとっても、忘れられない大一番である。

 ▼ただ、貴乃花は翌場所から7場所連続全休となり、15年1月に引退を余儀なくされる。稀勢の里はここからは、貴乃花とは別の力士人生を歩むよう祈らずにはいられない。


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拉致40年、かの国の犯した罪には怒りをもって臨むほかない 3月26日 [産経抄]

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2017.3.26 05:03

【産経抄】拉致40年、かの国の犯した罪には怒りをもって臨むほかない 3月26日

政府が認定した日本人拉致被害者

 〈花は根に鳥は故巣(ふるす)に〉という。花は咲いた木の根元に散り、その肥やしとなる。空を行き交う鳥もやがては巣に戻る。あらゆる物事は、その元となるところへ帰っていくものだ-と。いにしえの言葉に、ある母親の悲哀に満ちた面差しが重なる。

 ▼〈巣立ちし日浜にはなやぐ乙女らに/帰らぬ吾娘の名を呼びてみむ〉横田早紀江。娘のめぐみさんが消息を絶ち、迎えた何度目かの春という。中学を巣立つ同じ年頃の少女に、わが子の影を母は求めた。北朝鮮による拉致の可能性を小紙などが報じたのは、失踪から約20年後の平成9年2月である。

 ▼その翌月に発足した「家族会」が今年で結成20年を迎えた。小紙連載『拉致40年 家族の慟哭』に胸を痛めた読者も多いだろう。一部の拉致被害者が帰国した14年10月以降、何の進展もみていない。鳥は故巣に-の言葉がむなしい。

 ▼小紙が拉致の存在を初めて報じたのは、昭和55年1月だった。拉致問題が北朝鮮の国家犯罪であることは言うまでもないが、世論の反応は鈍かった。解決を遅らせたのは、世間の無関心であり、政府の及び腰だったことを忘れまい。

 ▼早紀江さんは81歳、夫の滋さんは84歳になった。家族会のシンボルとして先頭に立ったこの20年は、数倍に匹敵する長さだったろう。「私たちは一庶民です。本当は普通のお父さんお母さんとして生きたかった」と早紀江さんの言葉にある。平凡な幸せを奪われた怒りを、国民が分かち合いたい。

 ▼「拉」という字を【拉(みじ)く】と読めば「こまかく砕く」の意味になり、【拉(ひし)ぐ】と読めば「押してつぶす」の意味になる。団欒(だんらん)のときを粉々に砕き、肉親の情を踏みにじる。かの国の犯した罪には怒りをもって臨むほかない非道の極みの罪である

 


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【産経抄】あいまいな「関与」という言葉を独り歩きさせる朝日新聞、印象操作に気をつけたい 3月25日 [産経抄]

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2017.3.25 05:04

【産経抄】あいまいな「関与」という言葉を独り歩きさせる朝日新聞、印象操作に気をつけたい 3月25日

 朝日新聞はよほど「関与」という言葉がお好きらしい。24日付朝刊では、学校法人「森友学園」の土地問題をめぐり、1面トップ記事で「昭恵夫人付職員が関与」との大見出しが躍っていた。安倍晋三首相夫人が土地問題に関係を持ち、事にあずかっていたのだとの印象が刷り込まれる。

 ▼他紙はと見ると、毎日、日経東京の各紙がそろって問い合わせを意味する「照会」との表現を使っていた。社説でも「昭恵氏が、国有地払い下げに関与したことを疑わせる」「何らかの動きをしていたなら、一定の関与をしていたことになる」と書いた朝日の念の入れようは突出している。

 ▼朝日が「関与」を強調した事例といえば、平成4年1月11日付朝刊の1面トップ記事「慰安所 軍関与示す資料」が思い浮かぶ。実は慰安婦募集に際し、一般市民の誤解を招かぬように誘拐などを行う悪質な業者に気をつけろという通達のことだった。

 ▼ところが、本文とは別に「朝鮮人女性を挺身(ていしん)隊の名で強制連行した」といった事実と異なる解説記事があったため、強制連行の証拠資料であるかのように誤解された。記事の5日後に韓国を訪問した当時の宮沢喜一首相は、「関与」の中身も分からぬまま8回も謝罪した。

 ▼「報道で、政府内は蜂の巣をつついたような大騒ぎとなった」。当時の政府高官は後にこう振り返り、「一連の流れをみると意図的な動きを感じる」と付け加えた。朝日は慰安婦報道について、「政治動かした調査報道」(6年1月25日付朝刊)と自賛もしていた。

 ▼「関与」というあいまいで、どうとでも解釈できる言葉を独り歩きさせ、何か重大な問題であるかのようなイメージをかき立てる印象操作に引っかからぬよう気をつけたい


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国連が発表した世界各国「幸福度」ランキング、日本は…… 3月23日 [産経抄]

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2017.3.23 05:04

【産経抄】国連が発表した世界各国「幸福度」ランキング、日本は…… 3月23日

 「黒糖パン、桜エビのかきあげ、みそ汁、牛乳」「コッペパン、肉じゃが、みたらしだんご、牛乳」「みそラーメン、やきいも、みかんゼリー、牛乳」…。管理栄養士の幕内秀夫さんは、全国の学校給食から集めたひどい献立を『変な給食』(ブックマン社)という本にまとめている。

 ▼もっとも、これほど「変な給食」は聞いたことがない。兵庫県姫路市の私立認定こども園「わんずまざー保育園」では、0、1歳児の給食のおかずが、わずかスプーン1杯分だった。園の定員は40人余り、その人数分で発注した給食を、約70人の園児に分配していた。

 ▼魚のフライを切り分けると尻尾しかもらえない子もいた。「食べ残しがあり、もったいないと思っていた」。園長の釈明には、保護者から怒りの声が上がった。

 ▼幕内さんによれば、食事に楽しみを求める大人と違って、子供は生きるために食べている。その日の体調によって量が変わり、食べ残しが出るのは当然である。園では、他にも保育士の人数の水増し報告や暖房の不使用など、不正が次々に発覚している。事故が起こらなかったことが、せめてもの救いだった。

 ▼この問題とは別に、経済的な理由や親の不在により、家庭でまともな食事を与えられていない子供が増えている菓子やインスタント食品だけで空腹を満たしていると、生活習慣病の危険も高まる。世の中にグルメ情報があふれる一方で、子供たちが“飢餓”の脅威にさらされている。

 ▼国連が発表した世界各国の「幸福度」のランキングで日本は51位だった。上位の国々の顔ぶれを見れば、誤解と偏見の産物だと分かる。ただ、子供たちの変な食事がまかり通っている限り、「幸福な国」と胸を張るわけにはいかない。


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豊洲市場の移転へ 3種類のリスクの大きさ 3月21日 [産経抄]

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2017.3.21 05:03

【産経抄】豊洲市場の移転へ 3種類のリスクの大きさ 3月21日

 米カリフォルニア大のエイムズ教授は、野菜に自然由来の発がん性物質が多く含まれている事実を示した。その教授が、サラダをもりもり食べている。制がん性のある物質や他の栄養素もあり、食べないわけにはいかない。

 ▼『環境リスク学』(日本評論社)の中に出てくるエピソードである。著者の中西準子さんの名前は、昨日の東京都議会百条委員会で、石原慎太郎元都知事の証言の中にも出てきた。野菜が安全か危険か、決めつけるのは難しい。環境問題はそんな目に見えないリスクに満ちている。リスク評価を専門とする中西さんによると、リスクには3種の大きさがある。

 ▼第1が科学的に得られたリスクの大きさ、第2が意思決定のリスクの大きさ、第3が国民の抱く不安としてのリスクの大きさだという。築地市場の豊洲への移転問題では、第1のリスクの大きさは、すでにはっきりしている。

 ▼豊洲市場の地下水から、環境基準の100倍のベンゼンが検出された。ただこの基準値が伝えるのは、人が2リットルの水を70年間飲み続け10万人に1人ががんになるという、ほんのわずかなリスクである市場で地下水を利用することもない。専門家会議は、「科学的には安全」との評価を下した。

 ▼小池百合子都知事は、第3のリスクの大きさと向き合いながら、第2のリスクの大きさを選びとらなければならない。そろそろ移転について、判断を示す時期である。

 ▼豊洲に決まった経緯は、まったく別の問題だ。とりわけ78億円と858億円、元の所有者の東京ガスと東京都が土壌汚染対策に費やした金額の違いの理由を知りたい。もっとも、百条委員会の証人の話を聞いていると、「科学的」な解明から遠ざかるばかりのように思える。


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握手をする理由しない理由 3月20日 [産経抄]

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2017.3.20 05:03

【産経抄】握手をする理由しない理由 3月20日

 昨年のリオデジャネイロ五輪、柔道男子100キロ超級の会場で激しいブーイングが起きたイスラエルの選手に一本負けしたエジプトのエルシェハビ選手が、試合後の握手を拒否した場面である。

 ▼ただ、帰国したエルシェハビ選手を取材した毎日新聞によると、やむを得ない理由があった。試合前からインターネットを通じて、「棄権すべきだ」「敗北は許されない」などの声が寄せられた。イスラエルを敵視するアラブ人の感情を尊重して、コーチと相談して決めたという。

 ▼ホワイトハウスで17日、トランプ米大統領との初会談に臨んだドイツのメルケル首相が、写真撮影に際して声をかけた。「握手しますか?」。トランプ氏はあらぬ方向に顔を向けたまま返事をしない。先月の日米首脳会談で、安倍晋三首相の右手を笑顔で19秒間も握りしめた人物とは、別人のようだった。

 ▼米国の子供たちは、ぬいぐるみゲームを利用して、握手の作法を教え込まれる。「握手は握る手から当人自身と相互の関係についての情報をにじみださせる、すぐれて触覚的な儀礼」だからだ(『身ぶりとしぐさの人類学』野村雅一著)。

 ▼それだけに、トランプ氏の振る舞いの理由が知りたい。「欧州の女王」と親身に付き合うつもりはないのか。それとも呼びかけが聞こえなかっただけなのか。いずれにしても「握手抜き」が、米独首脳会談の最大のニュースだった。

 ▼欧州歴訪中の安倍首相は、20日にメルケル氏と会談する。トランプ大統領の誕生と英国のEU離脱決定で激変する世界情勢のなか、日独連携の必要性が高まっている。これまで息の合ったコンビとはいえなかった両首脳だが、まず固い握手を交わして、今度こそ互いの信頼を確かめたい。]


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居眠りする生徒が悪いのか、単調な授業が悪いのか 3月19日 [産経抄]

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2017.3.19 05:03

【産経抄】居眠りする生徒が悪いのか、単調な授業が悪いのか 3月19日

 いまは亡き立川談志さんが地方で務めた高座で、事は起きた。「やってられるか」。名人芸に満座がどかんと沸く中、談志さんが仏頂面で座布団から立った。最前の客が1人舟をこいでいる。客はつまみ出された。

 ▼毒舌で鳴り響く人の前で居眠りとは、よほど太く丈夫な神経の持ち主に違いない。退席させられた客は後日、主催者側に損害賠償を求め、あえなく敗訴した。談志さんも、いい面の皮である。判決直後の談話が残っている。「今度は、居眠りしないで聞きに来い」。

 ▼演者と客の関係を教師と生徒に置き換えても、同じ真剣勝負の舞台だろう。ただし居眠りさせた側の力不足と居眠りした側の気の緩み、どちらに非があるかは判断が難しい。授業中に「居眠りする」と答えた高校生の割合は、日本が15・0%と突出しているという。

 ▼国立青少年教育振興機構が日本や米国、中国韓国の高校生に行った、昨年の意識調査である。「居眠り」は授業態度とリンクしているらしい。「問題意識を持ち、聞いたり調べたりする」は12・3%で、中国の52・7%や、米国の34・5%と比べて極端に少ない。

 ▼「高い社会的地位に就く」(13・8%)や「リーダーになる」(5・6%)など将来的な野心も、4カ国の中で最も低い。脂ぎった欲が薄いということかもしれない。授業態度に見られる「受け身」の姿勢が、淡泊な人生観に投影されているのだとすれば悩ましい。

 ▼「単調は退屈の母」とは漫談家、徳川夢声の警句である。機構側は教員の側に「授業観の改善が必要」と生徒の意欲を引き出す工夫を求めるが、若者たちの人生観を変える刺激も必要だろう。泉下の談志さんに、お知恵を借りたいところである。「やってられるか」とは言うまい。


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自分の言葉を表明できるのは幸せだ 「森友」証人は真摯に語れ 3月18日 [産経抄]

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2017.3.18 05:04

【産経抄】自分の言葉を表明できるのは幸せだ 「森友」証人は真摯に語れ 3月18日

 その女性は、長年閉じ込められていた静かで孤独な場所を、天国でも地獄でもなく、天国に入る前に浄化の苦しみを受ける煉獄(れんごく)と呼んだ。生後すぐに脳に酸素が届かない状態となり、脳に重度の障害を負って、体を動かすことも口をきくこともできなくなった溝呂木(みぞろぎ)梨穂さん(24)である。

 ▼母の真理さんは、梨穂さんには意思も言葉もあると信じていたが、医師は懐疑的で、梨穂さんもそれを伝えることも証明することもできなかった。19歳と10カ月の時に、重度障害者から言葉を引き出すことをライフワークにしている国学院大人間開発学部の柴田保之教授と出会うまでは。

 ▼手のひらで柴田教授にかすかな合図を送り、それを専用ソフトを使ったパソコン画面に反映させることで、心の中にため続けていた言葉が一気にあふれ出した。「何もできない私ですが、ぼんやりと生きてきたわけではありません。ずっと、私は人間とは何なのかということを、考えてきました」。

 ▼梨穂さんの新著『約束の大地』(青林堂)に収められた梨穂さんの詩を読むと、喜びも苦痛も、語りたいことも何一つ表現できず、理解されることもない閉じた世界の中で、梨穂さんがささやかな楽しみを見いだしながら、思索を深めていったことがうかがえる

 ▼自らの思い、言いたいことを伝えられるのは、何と貴重で素晴らしいことか。「梨穂さんの独特の世界観にドキッとした」。こう振り返る柴田教授が言葉を発掘した障害者は100人を超える。今も沈黙の煉獄にとらわれている人は数多い。

 ▼23日には、衆参両院で学校法人「森友学園」をめぐり証人喚問が行われる。自分の言葉を表明できるのは幸せなことである証人には、真摯(しんし)に事実を語ってほしい


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中国でお茶を飲むのは怖い 3月17日 [産経抄]

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2017.3.17 05:03

【産経抄】中国お茶を飲むのは怖い 3月17日

全人代が閉幕し、記者会見する中国の李克強首相=15日、北京の人民大会堂(共同)

 中国で「お茶を飲まされる」とは、警察で取り調べを受けることを意味する。『マンガで読む 嘘つき中国共産党』(新潮社)で知った。筆者の「辣椒(ラージャオ)」さんは、インターネット上で中国の政治を風刺する漫画を発表していた。もちろん、何度もお茶を飲まされた。

 ▼ネット仲間に助けを求め、警察署に電話攻勢をかけてもらい、ようやく解放されたこともある。日本に旅行中の平成26年、身の危険を感じて、そのまま事実上の亡命生活を送っている。帰国すれば、終身刑の可能性さえある。

 ▼中国の李克強首相の記者会見に、日本のメディアで小紙だけが出席を拒否された。人権派弁護士らが受けている言論弾圧の厳しさは、こんなものではないと、辣椒さんに叱られるかもしれない。ただ不審な尾行など、小紙の駐在記者に対する取材妨害は日常茶飯事である。

 ▼何より読者もご存じの通り、小紙の記者は昭和42年に、文化大革命の報道をめぐって追放されている。その後31年間も北京支局再開を許されない憂き目に遭った。中国当局の意図に対して、神経質にならざるを得ない。

 ▼もっとも、当局から目をつけられている外国メディアは、小紙だけではない。2年前には、中国の対ウイグル族政策に批判的な記事を書いたフランス週刊誌の女性記者が、事実上の国外退去処分を受けている。昨年6月には、カナダを訪れた王毅外相が、中国の人権状況について質問をした記者に激しくかみつく場面もあった。

 ▼習近平政権のもとで、「竹のカーテン」は、再び厚みを増している。中国で人権がいかに軽んじられているか。辣椒さんの漫画を読めば一目瞭然である。その事実を確認して報じるのがメディアの仕事だが、日に日に難しくなっているようだ。

 


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】「私の夫と結婚してください」夫を励ます、究極のラブレター 3月16日 [産経抄]

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2017.3.16 05:04

【産経抄】「私の夫と結婚してください」夫を励ます、究極のラブレター 3月16日

TBSラジオ「永六輔の誰かとどこかで」の収録場面=東京赤坂

 放送作家の三村修治は、医師から余命6カ月を告げられる。長年バラエティー番組を担当してきた三村は、残された半年で妻を心から楽しませる企画作りに取りかかった。

 ▼妻の再婚相手を探し出して、愛する人の幸せを確かめてから旅立とう。樋口卓治さんの小説『ボクの妻と結婚してください。』(講談社)は、テレビドラマや映画にもなった。

 ▼「私の夫と結婚してください」。今月上旬、米ニューヨーク・タイムズ紙に掲載されたコラムのタイトルである。筆者の絵本作家、エイミー・クラウス・ローゼンタールさんはその10日後、シカゴの自宅で卵巣がんのために亡くなった。51歳だった。夫の結婚相手を募集するコラムは、ネットを通じて約450万人の目に触れたという。

 ▼ローゼンタールさんは、26年連れ添った弁護士の夫の長所を並べ立てる。服装の趣味がよく、絵が上手で料理もできる。夫や子供たちともっと一緒に過ごしたかったが、叶(かな)わない。ならばせめてと、コラムはこう結ばれる。「私が心から望むのは、誰かふさわしい人がこれを読み、夫に出会って、新しいラブストーリーが始まること」。

 ▼夫を看取(みと)った妻に比べて、妻を看取った夫の余命ははるかに短いと、よく言われる。先立たれた奥さんに毎日はがきを出し、『あの世の妻へのラブレター』なる著書もあった作家の永六輔さんは、こんな述懐を残している。「どうして男は、こんなにボロボロになるんだろう。命をつくる作業を知る女の人と違い、男は命と正面から向き合うことをしていないからかな」。

 ▼ローゼンタールさんは、実はたった一人のためにコラムを書いたのではないか。ボロボロになっているであろう夫を励ます、究極のラブレターである。


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経産省の情報発信力が変だ 3月15日 [産経抄]

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2017.3.15 05:04

【産経抄】経産省の情報発信力が変だ 3月15日

 1970(昭和45)年の大阪万博は、見合い話から始まった。旧通産省に入省して3年目の堺屋太一さんに、上司から持ち込まれたものだ。堺屋さんは断るのだが、この時の上司の言葉が耳に残った。「若い頃は一つのことにかけてみるのも悪くない。たとえば万博とか」。

 ▼昭和38年だった。堺屋さんはまもなく、人事異動で企業局工業用水課に移り、生まれ故郷の大阪で地盤沈下の問題を担当する。何度も通ううちに、経済面での大阪の地盤沈下の方が深刻だと、感じるようになった。

 ▼東京五輪に匹敵するイベントとして、大阪で万博を開けないか。省内外で同志を募り始めた。曲折をへて実現した万博が、6422万人を集める大成功に終わったのは、周知の通りである。

 ▼東京が2度目の五輪を開催するなら、こちらも続けというわけか。大阪府が2025年国際博覧会(万博)の誘致をめざしている。推進本部のトップを務めるのは、世耕弘成経済産業相である。堺屋さんの後輩にあたる経産省の職員たちも、実現に向けて知恵を絞っているはずだ。その成果の一つだとすれば、残念でならない。万博のテーマなどを説明する報告書案の「関西弁版」を作っていた

 ▼万博を「人類共通のゴチャゴチャを解決する方法を提言する場」と表現し、「ゴチャゴチャ」の例として「例えばやな、精神疾患」などと記載していた。「関西人をばかにした上に人権侵害だ」。大阪府の幹部があきれるほどの「けったいな」代物(しろもの)である。

 ▼経産省といえば、省内すべての執務室に鍵をかける措置で、メディアから批判を浴びているかと思えば、発表すべきではなかった報告書案で、ひんしゅくを買う経産省の情報発信能力が心配になってきた


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「石油はあるが水がない」サウジからの“大名行列” 3月14日 [産経抄]

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2017.3.14 05:04

【産経抄】「石油はあるが水がない」サウジからの“大名行列” 3月14日

V1スポットに駐機するサウジ国王専用機(ボーイング747-400:機体番号HZ-HM1)。手前はサルマン国王の国内移動で使用されるため、事前に持ち込まれたメルセデスの防弾車両 =12日午後、羽田空港大山文兄撮影)【キヤノン EOS 5D Mark Ⅲ:EF24-105mm F4L IS USM】

 大名行列のシーンは時代劇に欠かせない。加賀百万石の前田家では、行列の人数が4千人にも及んだ。とにかく荷物が多かった。武器から飲み水やしょうゆの入った樽(たる)まで運び、医者や料理人、大工も連れていた(『参勤交代道中記』忠田敏男著)。

 ▼日曜日に来日したサウジアラビアのサルマン国王(81)にも、1千人を超える王族や関係閣僚、使用人が同行していた。国王専用のエスカレーター式のタラップなど、荷物の量も桁違いである。東京都内の高級ホテルの客室が1200室、移動用のハイヤーも約500台が確保された。大名行列が街道の宿場町の経済を大いに潤したように、今回の訪問団がもたらす「特需」にも、期待がかかる。

 ▼46年前の昭和46年、アラブ諸国からの初めての国賓として来日したファイサル国王の随員は54人だった。皇居の夜会から宿舎に帰る途中雨に降られ、こんな言葉をもらしている。「雨だな。わが国には水が少ない。石油だけはあるんだが…」。当時石油価格は上昇を続けていた。国王は石油収入を社会インフラにつぎ込み、国の近代化を進めることができた。

 ▼サウジは現在でも世界最大級の原油埋蔵量を誇り、日本にとっても、輸入する原油の約3割を占める最大の供給国である。ただ長引く原油価格の低迷によって、財政悪化が進んでいる。

 ▼産業の多角化によって2030年までに石油依存から脱却する改革案「ビジョン2030」が、昨年ようやくまとまった。主導するのは、半年前に来日したばかりの国王の七男、ムハンマド・ビン・サルマン副皇太子である。

 ▼国王の豪勢すぎる旅にも、いずれメスが入るのではないか。栄華を極めた加賀藩も江戸中期になると、旅費の工面がつかなくなったそうだ

 


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名建築の不思議な力 3月13日 [産経抄]

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2017.3.13 05:03

【産経抄】名建築の不思議な力 3月13日

 「鹿児島へ演奏旅行に行くよ」。ジャズピアニストの山下洋輔さんが母親に告げると、思いがけない言葉が返ってきた。「おじいさんの建てた刑務所を見てきなさい」。昭和61年のことだ。

 ▼山下さんは祖父、啓次郎について調べ始めた。明治時代になって、政府は欧米諸国から近代的な監獄の整備を求められていた。旧司法省の技官だった啓次郎は、欧米の刑務所約30カ所を10カ月かけて視察し、その成果をもとに、長崎、鹿児島、千葉奈良金沢の5カ所の監獄を設計した。

 ▼20世紀初頭に建てられたいわゆる「明治五大監獄」は、鹿児島を含めて次々に取り壊された。ほぼ完全な形で残っているのは、奈良監獄を受け継ぐ奈良少年刑務所だけである。

 ▼刑務所としてまもなく閉鎖されるのを前に、山下さんは先週末、刑務所の中庭で周辺住民を招いた記念コンサートを行った。中世ヨーロッパの城を思わせる赤レンガ造りの建物をなんとか残そうと、山下さんたちは、保存運動を続けてきた。その甲斐(かい)あって国の重要文化財への指定が決まり、ホテルなどへの再利用が検討されている。

 ▼奈良少年刑務所といえば、『空が青いから白をえらんだのです』『世界はもっと美しくなる』など、受刑者たちが綴(つづ)った詩集も反響を呼んできた刑務所で9年間にわたって詩の授業を行い、受刑者の心の扉を開いてきた、作家の寮美千子さんが編集したものだ。啓次郎は刑務所を単なる受刑者の収容施設ではなく、更生と社会復帰への道を開く場にしようと考えた。詩の授業はまさにその精神に合致している。

 ▼寮さんもやはり建物の美しさに引かれ、公開日に訪問したのが刑務所と関わるきっかけになった。名建築は不思議な力を持っているようだ。


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韓国には声で敵を討つという意味の「声討」なる言葉があるらしい [産経抄]

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2017.3.12 05:03

【産経抄】3月12日

 その昔、旅先の宿で隣室から朗々と謡曲が流れてきた。なかなかうまい。「止めてみせようか」と謡(うた)い始めたのは、時の観世大夫である。隣は水を打ったようにしんとなった。自分より秀でた腕前に驚いたらしい。

 ▼後日、別の宿に移ると、隣から下手な謡曲が聞こえてきた。止めてください。水を向ける弟子に、観世は首を振る。先日のは達人だった。今日の人は他人の巧拙がまだ分からない。うっかり謡い出そうものなら「負けん気を出して、声を張り上げるに違いない」と。

 ▼話術も同じ。独善は慎め。エッセー『話道の泉』でこの挿話に触れた徳川夢声が説いている。身につまされる話ですね、そう思いませんか…。熱情にのぼせる隣人の耳には、届かぬ説法だろう。「国民情緒」とはかくも人の理性を狂わすものかと鼻白む思いがする。

 ▼韓国・朴槿恵(パク・クネ)大統領の罷免は予見できたとして、憲法裁判所の裁判官全員が「弾劾妥当」と声をそろえたのは意外だった。世論の約8割が弾劾を支持し、「法より情」の圧力が国の左右を決める。異質な怪物が威張る隣国を、民主国家と呼ぶことに違和感を覚える。

 ▼隣人の変調に、北朝鮮は手をたたいていよう。対北融和と反日色の濃い左派系の有力者が支持率で抜き出ている。大統領選の行方しだいで、親北政権の誕生も、慰安婦問題の解決に向けた一昨年の日韓合意が白紙に戻る恐れもある。事は「わが国の危機」でもある

 ▼韓国には声で敵を討つという意味の「声討」なる言葉があるらしい感情に任せてがなり立てる街頭の声は、国のトップを討ち取った。理性の及ばぬ国情を前に「目を覚ませ」と道理を説くのか。観世流の静観を決め込むべきか。始末の悪い“隣の謡曲”に日本の応手が悩ましい。


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「稲田大臣の資質を問う」朝日新聞は随分差別的な発想ではないか 3月11日 [産経抄]

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2017.3.11 05:03

【産経抄】「稲田大臣の資質を問う」朝日新聞は随分差別的な発想ではないか 3月11日

 「学校も先生も大きらい。いままでなんかいも死のうとおもった」。9日付の小紙朝刊に、東電福島第1原発事故で福島県から横浜市に自主避難し、いじめを受けた中学1年の男子生徒の手記全文が載っていた。住み慣れた自宅を離れ、新たな居場所を求めた先で黴菌(ばいきん)扱いされた生徒の心境を思うと、胸がつぶれる

 ▼朝日新聞と福島大の今井照(あきら)教授が今年1~2月に実施した共同調査によると、避難先でいじめや差別を受けたり、被害を見聞きしたりしたことがある避難者は62%に上る(2月26日付同紙朝刊)。大人でもそうなのである。

 ▼「お米はすべて福島県産を使用しています」。安倍晋三首相夫人の昭恵さんも時折利用する首相官邸2階の食堂には、こんな貼り紙がある。政府は風評被害払拭を図っているものの、人の心に巣くう偏見や思い込みは、なかなか取り除けない。

 ▼根拠のない不条理ないじめや差別が後を絶たない背景には、新聞テレビ、一部政治家らが過度に放射能の危険をあおったこともある。大人社会の偏見は子供に伝染し、心をむしばむ。小紙も轍(てつ)を踏まぬよう肝に銘じたい。

 ▼「稲田大臣の資質を問う」。朝日新聞は10日付の社説でこう記し、教育勅語を評価した稲田朋美防衛相の資質に重大な疑義を表明した。手元の岩波国語辞典を引くと資質とは「生まれつき」「天性」のことである。思想や考え方で持って生まれた性質まで否定するとは随分差別的な発想ではないか。

 ▼教育勅語は、友人とは互いに信じ合い、行動は慎み深くし、他人に博愛の手を差し伸べるなどの徳目を教えている避難してきた同級生をいじめる子供らや、扇情的な言説に陥りがちなメディアにこそ、読んで心に刻んでもらいたい

 


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父は殺された 3月10日 [産経抄]

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2017.3.10 05:03

【産経抄】父は殺された 3月10日

 フランス革命で、ルイ16世と王妃マリー・アントワネットは断頭台の露と消えた。二人の子で当時8歳の王子ルイ・シャルルも、2年後に刑務所内で病死したとされる。もっとも、実は生き延びた、との説が当初からあった

 ▼王子を名乗る人は何百人も現れた。200年後の2000年になって、ようやく謎が解ける。実は王子の死後、医師によって心臓が持ち出され、寺院に安置されていた。その心臓と王妃の遺髪をDNA鑑定した結果、王子本人だったと確認できた。

 ▼マレーシアで北朝鮮の金正男(キム・ジョンナム)氏(45)が殺害された事件で、警察は身元確認のため、親族のDNAサンプルを求めている。しかし、現地を訪れ遺体を引き取るのは難しい。外国メディアを通じて北朝鮮の体制を批判したこともある息子のハンソル氏は、暗殺の危険にさらされている。

 ▼そのハンソル氏とみられる男性の動画インターネットで公開された。男性は、父親の殺害について英語で語った。動画を掲載したのは、「千里馬民防衛」という団体である。ハンソル氏ら家族を保護しているとみられる団体の正体は、明らかではない。

 ▼フランスの革命政府に敵対する王党派は、王子を刑務所から救出して王位に就けようとした。ハンソル氏は、建国の父、金日成主席の曽孫にあたる。「金王朝のプリンス」を北朝鮮再建の切り札にしようとする勢力が、存在するのだろうか。

 ▼男性は特にオランダの駐韓大使の実名を挙げて謝意を示した。どうやら大きな役割を担っているらしい。果たしてハンソル氏ら家族は、今どこに滞在しているのか。いずれにせよ、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の「兄殺し」の容疑は強まるばかりである。今頃は、動画の謎解きにやっきになっているはずだ。


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科学者の団体が、自国の安全保障に寄与する研究を禁止するとは 3月9日 [産経抄]

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2017.3.9 05:03

【産経抄】科学者の団体が、自国の安全保障に寄与する研究を禁止するとは 3月9日

日本学術会議が開いたシンポジウム。「軍事研究を行わない」とする過去の声明の見直しについて反対意見が大勢を占めた=4日午後、東京都港区

 科学者の代表機関である日本学術会議では、能天気な議論が続いていると、2日前のコラムで書いた。昨日の各紙を見ると、新しい声明案がまとまったようだ。「軍事研究を行わない」。なんと昭和25年に発表した声明を、「継承」するというから驚きである。

 ▼当時はまだ占領下、日本の弱体化を進めていたGHQの意向に沿った内容だった。67年たって、独立国家である日本は、近隣諸国の軍事的脅威にさらされている。時代遅れの声明を見直すのは当然ではないか。

 ▼あくまで軍事研究を忌避する人たちは、「民生研究の充実」を訴える。インターネットやGPSを挙げるまでもない。軍事研究から始まった多くの技術が、われわれの生活になくてはならない存在になっているではないか。

 ▼それにしても、科学者の団体が、自国の安全保障に寄与する研究を禁止するとは。同じような声明が出されている国が日本以外にあるのか、後学のためにぜひ、教えてもらいたい。どうやら公的機関でありながら、特定のイデオロギーに染め上げられてしまっている。そんな学術会議のあり方に批判的な科学者も少なくないはずだ。

 ▼曽野綾子さんは、日本ペンクラブを脱退している理由の一つとして、団体が出してきた、反戦や反核のアピールを挙げた。作家というものは個人的情熱を持って書く。何で衆を頼むのか、と小紙のコラムに書いていた。最近では、「組織犯罪処罰法改正案」をめぐり、一部の弁護士が、日本弁護士連合会に反発している。法案に反対する日弁連に対して国民をテロから守るための必要な法案だと、主張する。

 ▼良識ある科学者に訴えたい。日本の安全と学問の自由を守るために、今こそ声を上げる時ではないか


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空飛ぶ山岳救助隊員の悲劇 3月8日 [産経抄]

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2017.3.8 05:04

【産経抄】空飛ぶ山岳救助隊員の悲劇 3月8日

 元検事総長の土肥孝治(どひ・たかはる)さんは、登山が趣味だった。検事総長在職中の平成8年7月には北アルプス・白馬岳を登山中、十数メートル下の沢に滑落して、腰の骨などを折る重傷を負っている。

 ▼この時ヘリコプターで病院に搬送したのが、「空飛ぶ山岳救助隊員」の異名を持つ篠原秋彦さんだった。篠原さんは、ヘリ救助の専門家が皆無だった昭和40年代から活動を始め、救った命は2千人を超える。

 ▼「あの時は怖かった。周りの人が“総長、総長”と呼ぶから、てっきり暴力団のエライ方かと思った」。後日再会した時の篠原さんの打ち明け話である。なごやかな会話から6年後、篠原さんは遭難者4人を救助した直後に転落死する。

 ▼長野県の山中で起きた消防防災ヘリの墜落事故で、消防隊員ら搭乗者9人全員が死亡した。ヘリは山岳遭難の救助訓練に入るところだったという。亡くなったのは、いずれも腕利きの「空飛ぶ山岳救助隊員」である。家庭にもどれば、「やさしい夫」であり、「子煩悩な父親」だった。

 ▼平成22年7月、埼玉県秩父市の山中で、救助活動中に起きた防災ヘリの事故では、5人が死亡している。墜落したのは、レスキュー隊員がロープで遭難現場に降り立つ直前だった。なんと、過酷な仕事だろう。登山ブームに伴って、ヘリの出番は増えるばかりである。最近は「疲れて動けなくなった」といった、安易な救助要請も目立つ。

 ▼ずいぶん前に見た、ワイドショーの一シーンである。出演していた評論家が、登山者の遭難を伝えるニュースの原稿に異を唱えていた。「好きで山に入った人を犠牲者と呼ぶべきでしょうか」。殉職した「空飛ぶ山岳救助隊員」は、間違いなく人命を救うために犠牲となった人たちである。


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