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1月14日グルマは、雪面に現れる「雪えくぼ」のことである [■産経抄]

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【産経抄】1月14日

 雪とよしみを通じた地方では、言葉が寒暖計の代わりになる時代もあったらしい。「しわら寒い」という表現を、『新潟県雪ことば辞典』に教わった。魚沼地方の方言で、穏やかに寒い状態とある。似た言葉だが、「しはら寒い」は防寒具を着てなお身震いするほどの寒さという。

 ▼「わ」と「は」で異なる寒さの目盛りに、雪と暮らす人々の細やかな神経を見る。大雪の中、約430人を乗せて駅を出た電車も、運行する側に繊細さがあったなら難を避けられたろう。窓外の白魔を侮ったか。発車から2分で止まり、15時間以上も立ち往生した。

 ▼新潟県三条市のJR信越線で、11日夜に起こった普通電車の不手際である。多くの乗客が、車内でやむなく一夜を過ごした。さほど遠くない後ろの駅に引き返すでもなく、自衛隊に助けを求めるでもない。豪雪地帯と思えぬJRと県の手抜かりは、赤点ものだろう。

 ▼疲労も睡魔も焦慮もある中で、乗客は互いに席を譲り合っている。乗り合わせたのは不運として、情の花に水やりを忘れないこまやかな心配りがあった。中には受験を控えた高校3年生もいたと聞く。きのう始まった大学入試センター試験で、力を尽くせたろうか。

 ▼北日本などでは試験の開始時間を遅らせた会場もあった。空の崩れに備えて、夜も明け切らぬ中、雪の積もった歩道を駅へと急いだ受験生は多かっただろう。「しんばいこんばい」も魚沼地方の方言で、凍った雪の上を歩く意味という。心配、困憊(こんぱい)の文字が浮かぶ。

 ▼新潟には「グルマ」が出れば、雪は降りやむとの言い伝えもあるグルマは、雪面に現れる「雪えくぼ」のことである。本格化する受験シーズンに、詮無い事を願ってみる。雪よ、ほどよく降れ。土よ、早く笑え。


タグ:産経抄
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